鹿児島県に来るまで、ビニールハウスに入った事がありませんでした。
そんな農業未経験者の知識と感覚をもとに、東串良町地域おこし協力隊として業務に取り組んでいます。
地域おこし協力隊とは、平成21年に総務省によって制度化された「都市地域から過疎地域等に移住し、一定期間地域に居住して地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組」で、制度発足から10年を迎え知名度も高まる中、地方移住の選択肢の一つとしても注目されています。
私の場合は「町外から来られた農業従事希望者の方」と「町内の後継者のいないピーマン農家の方」との橋渡し役としての「就農体験」のサポートが、業務のひとつです。今回は、そのご案内をさせて頂きます。
このウェブマガジン『かごしま暮らし』を読んでおられる方の中には、鹿児島県外にお住まいで地方移住を希望や検討をされている方も多いと思いますので、何かの参考になれば幸いです。
東串良町は大隅半島の中央部に位置し、一年間を通じて温暖な気候で雪もほぼ降りません。日照時間の長さもあって、ビニールハウスでのピーマン栽培の収穫は約8ヶ月間続きます。収穫期間が長いので離農率も低く、安定した収穫量・収入につながります。また、東串良町のピーマンはかごしまブランド認証を受けています。肉厚で苦みが少ないのが特徴で、生でも美味しいです。
そんな東串良町の地域おこし協力隊フェイスブックとインスタグラムでは「#ピーマン体験記」で、就農体験のご案内をしています。
季節は秋、9月下旬。この日の体験は、1週間ほど前にビニールハウスに植えた苗に水をあげる作業でした。
ピーマンは、草ではなく、木です。ハウスの中はとても暑く、また苗から木へと成長するために毎日たくさんの水と栄養を必要とします。植えられた苗1本1本に、液体肥料を混ぜた水1ℓを順番にあげていきます。
作業をしていて驚いたのですが、水をあげる前と後で、苗の様子が明らかに変わるのです。
水をあげる前の苗は葉っぱが下向きで、全体的に元気がありません。ところが、水をあげて10分もすると葉っぱが上向きになって、見るからに生き生きとした様子になります。
この苗は生きている。普段目にしているピーマンはどこかの工場から運ばれてくる大量生産品ではなくて、この苗が自ら成長して、枝を伸ばし、花を咲かせ、時間をかけて作り出した生命の集合体。
それを食べて、私達は日々生きている。
そんな忘れがちな当たり前のことに、ふと気づかされます。
ピーマンの成長に合わせて季節ごとに作業内容は変わりますが、東串良町では6~8月を除く通年で、就農体験を受け付けています。
鹿児島県での就農、移住に、興味・関心をお持ちの方は是非ご参加ください。
(※)データは2015年農林業センサスに基づきます。
山田智之
<プロフィール>
東串良町地域おこし協力隊 就業体験サポーター
大阪府出身。平成30年5月より、東串良町2人目の地域おこし協力隊として配属
http://www.higashikushira.com/docs/2018091400010/ (東串良町役場HP、就農体験告知ページ)