夕陽のあと

長島町は可能性を秘めている ー 長島町映画「夕陽のあと」

投稿日:2019年11月12日 更新日:

「夕陽のあと」は子育てがテーマとなっている物語です。

親子の絆のあり方が多岐にわたっている時代である今、ネグレクト、里親制度、特別養子縁組、女性の貧困という社会のあり方が問われる課題に真正面から向き合っています。

人口1万人ぐらいの島が映画として扱うテーマとしては大きすぎると思えるのではないでしょうか?

僕は決してそのようには思えません。
「夕陽のあと」の試写会にいらっしゃったとある方が「この作品の舞台はローカルだが、テーマはグローバルだ」と仰ってくださいました。
過去の記事で、長島町の出生率の高さに切り離せない地域の繋がりについて記述させていただきました。

僕が幼少期を過ごした東京都練馬区上石神井(かみしゃくじい)。結果として、上石神井に一人暮らしを始めるまで20年ぐらい暮らしていたわけですが、僕は上石神井という街が大好きです。上石神井は特別何かがあるような街ではありません。ですが、僕はこの街で育ちました。

思い出すのもうんざりするのですが、幼少期の僕はいわゆるいたずらっ子でした。あぁ、思い出したくない(笑)でも、怒られた思い出は今でも記憶に残っているものです。

10歳ぐらいの頃でした。近所の川が流れる公園で、クラスメートたちと宿題のための野鳥観察をしていました。双眼鏡とバードコール(鳥の鳴き声が出せる小ぶりな道具)を持って鳥を探し求めて公園の様々な場所を動きまわっていました。するとカワセミを見かけることができました。「カワセミがいた!!」皆で盛り上がっていたのですが、ひとりのクラスメートだけ見ることができませんでした。

「見れなかった・・・」そのクラスメートは男ですが、いつもメソメソとしていて、その時もカワセミが見れなくて今にも泣きだしそうな表情でした。すぐに泣き出すし、モタモタしているし、男らしくないと当時僕は思ったのでしょう。周りのクラスメートがその男の子を慰めているときに、僕はただひとり「もう、帰れよ!邪魔だよ!」そうゆう言葉を浴びせました。泣きじゃくる男の子に僕は色々ときつい言葉をかけ続けていました。周りのクラスメートも止めませんでした。いじめのような状態に見えますよね。

すると、突然大きな声で「いじめるんじゃない!!!」とその公園にいた、まったく知らないおじいさんに叱られました。あまりの突然のことにびっくりして、今度は僕が泣き出しました。僕はいたずらっ子で泣き虫な面倒臭い少年でした(笑)

おじいさんはそのあと優しい声で泣いた僕に「仲良くやりなさい」と声をかけましたが、泣いて混乱状態だった僕は「お前に関係ないだろ!くそジジイ!!」と叫びました。すると近くで様子を見ていたおじさんが「おい!どんな口のきき方してるんだ!」と、またしても知らないおじさんに怒られました。「うるせー!じじい!!あっちいけ!!」僕は泣き叫びました。おじさんは「・・・なんだって??」と静かに怒りましたが、最初に怒ったおじいさんが「まぁまぁ・・・」となだめていました。泣きながらそのおじいさんの様子を僕は見ていました。

泣いて混乱状態だった僕をクラスメートが「おぐ、もう行こう」と言ってくれて、ようやく僕も心を落ち着けました。心が落ち着くと、最初に怒られたおじいさんが、最後自分のことを守ってくれた姿が頭の中から離れませんでした。その時の心情はさすがに思い出せませんが、落ち着いてからクラスメートの男の子に「ひどいこと言ってごめん」とそのあと謝ったことを覚えています。

あぁ、消し去りたい記憶です・・・(笑)
ただ、僕はこんな昔話をしたかったわけではありません。何を言いたかったかと言うと、こうやって子どもの相手をしてくれる大人が昔はたくさんいたんだよな、ということです。よく怒られましたし、よく色んなお店の人にオマケしてもらっていました。友達のお父さんやお母さん、近所の人たちにテーマパークに連れていってもらったりして、親以外の大人と距離が近かったことを今でも覚えています。

そのように、昔は親子だけではなく、共同体が人を育むことが当たり前のことだったと思います。決して、今この令和の時代が昭和や平成初期の時代を取り戻そうということではありません。ただ、身をもって僕自身が共同体によって育った人間のひとりだということです。

長島では今日も地元の漁師さんがバレーボールを教えています。
地元の花屋さんが少年ソフトボールの審判をしています。
何世代も年齢が離れた人たち同士で酒を飲んで笑っています。

今の時代を生きていく人に、長島町という拠り所をとおして、「夕陽のあと」はきっと問いかけてくるものがある作品だと信じています。

映画『夕陽のあと』

監督:越川道夫(『海辺の生と死』)
出演:貫地谷しほり/山田真歩/永井大/川口覚/松原豊和/木内みどり
脚本:嶋田うれ葉/音楽:宇波拓企画・原案:舩橋淳プロデューサー:橋本佳子/長島町プロデュース:小楠雄士/撮影監督:戸田義久/同時録音:森英司/音響:菊池信之/編集:菊井貴繁/助監督:近藤有希
製作:長島大陸映画実行委員会/制作:ドキュメンタリージャパン/配給:コピアポア・フィルム
2019年|日本|133分|カラー|ビスタサイズ|5.1ch
公式URL:yuhinoato.com

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