「エモすぎる古民家物件」「ジブリ映画に出てきそう」と一躍話題になった、築およそ100年の住居付き旧郵便局。その物件はSNS上での賑わいとは裏腹に、枕崎市の山あいの小さな集落・金山(きんざん)町にひっそりと佇みます。金山町はその名の通り、昔は金鉱山の町として栄えたのだとか。
旧鹿籠(かご)金山郵便局は、三等郵便局として明治37年(1904年)に開局しました。三等郵便局とは、国家財政の乏しいなか、全国にいち早く郵便局制度を普及させるため、郵便の取り扱いを地域の資産家に土地と建物を無償提供させ、事業を委託する形で設立した郵便局のこと。戦後は「特定郵便局」と呼称が変更され事業を続けていましたが、昭和56年(1981年)に局舎の老朽化に伴い閉鎖されました。
その後、所有者一家が数年間住んでいましたが、程なくして空き家に。それから30年余りの時を経て、ついに売りに出すことを決意したのです。それも、「土地付き100万円」というお値段で!
気になるお部屋は、立派な梁が目を惹くつくり。8畳の和室が2部屋、6畳の和室と4.5畳の洋室が1部屋ずつ。3畳・2畳の隠し部屋のような小部屋もあり、大人の遊び心をくすぐります。長く空き家だったため状態はよいとは言えませんが、リノベーションをすれば住居として再生する余地は十分にありそうです。
局舎部分は比較的きれいに保存されています。天井が高く、三面に張り巡らされた窓からは陽光が射し込み、非常に明るく開放的な空間。郵便局として現役だった当時のように、人が寄り合う場所になれば素敵だな、なんて妄想が膨らみます。
港町のイメージが強い枕崎ですが、豊かな緑にかこまれた集落に新たな名所ができる日もそう遠くはないかもしれません。旧郵便局物件の今後の行方にぜひご注目を。
枕崎市地域おこし協力隊
篠塚 立夏(しのづか りっか)
協力隊としての活動内容:
Instagramで枕崎の魅力の発信。ふるさと応援ECサイト「REHOME DELI.」の立ち上げ・運営。
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