プロローグ
仕事(イチゴ農家)も田舎暮らしも初心者だった2人は今年で移住3年半を迎える。イチゴ農家として、少しずつではあるが自分たちでできることも増えてきたと話す仲村さんが見る鹿児島の印象、そしてこれからの目標とは?
インタビュー:満崎千鶴 撮影:高比良有城 取材日2019年10月
移住者がみる鹿児島
2016年に鹿児島へ移り住み、早3年半が過ぎた。自分たちで解決出来ないことは今でもすぐに先輩に相談していると言うが、何とか“夫婦で出来ること”も増えてきたと話す。
仲村夫妻のイチゴ畑
実際に移住を経験した2人がみる鹿児島の印象はどんなものか?話を伺った。
「仕事柄、全国各地を転勤してきましたが正直どこもみんな良い人たちばかりでした。でもどちらかというと他所の人たちは “退職するなんてもったいない!辞めときな…”という人たちの方が多かったですね。一方鹿児島は、どんな事にも“お前がそう思うのならやってみたら!”と前向きな人が多く、チャレンジを応援してくれる人がたくさんいます。
『応援』と一言でいえば簡単だけど、実際に住んでみると、無責任に発言している訳ではないことがちゃんと分かるんです。
私たちが農業を始める時もそうだったように、困り事があれば必ず誰かが手助けしてくれるし、“イチゴ農家が忙しい時期”を町のみんなが知っているので、時期が来ると“子供預かろうか?”なんて声かけをしてくれて…。本当に助かっています。
日置市は新規就農を目指す人たちや農家を営む人たちへの支援制度も整っているし、周りにいるみんなが後押ししてくれるから何事も“チャレンジしやすい街”」と話す雅史さん。
移住してきた当初は小さな町特有の筒抜け感に少々戸惑いを感じたというが、関わりが密な田舎だからこそ得られる居心地の良さを体感しているそうだ。
イチゴ農家は子沢山
11月〜6月になるとイチゴの出荷シーズンが訪れる。
これまで我が子のように育てた苗は花を咲かせ、真っ赤に熟した実をつける。
「この時期は本当に忙しく、朝収穫したのにお昼頃にはまた、イチゴが真っ赤に色づくんです。収穫しても収穫しても追いつかない(笑)だからみんな夜明け前から収穫の作業を始めます。
夜明け前から始めて、子供を学校に送り出したらまた畑へ戻り収穫にかかります。
たくさんの子供たちを相手にまるでずっと授乳している気分(笑)」と笑う真由美さんの例えに思わずこちらも吹き出した。
「夜明け前、ビニールハウスに明かりが灯ると、“あ、先輩今日も無事で良かった”と安心します(笑)この時期は本当に過酷で、みんな落ち武者のようにフラフラしながら収穫していますから(笑)私たちは直接消費者の方々と顔を合わすことはありませんが、周りの人たちが私たちのイチゴを食べて“美味しい”と言ってくれるのが何より嬉しい。サラリーマン時代、鹿児島にきて初めてイチゴを“美味しい”と思った記憶は今でも鮮明に覚えています。これからもっと経験を積んで自分たちの作ったイチゴをネット販売したり、海外へ輸入したり、加工品を作って販売することが出来たらいいな。」と話す雅史さん。
まだまだ手探りではあるが、たくさんの人たちに支えられながら、まもなくイチゴ農家4年生を迎える。
仲村雅史さんの鹿児島暮らしメモ
かごしま暮らし歴は?
3年半
Iターンした年齢は?
42歳
Iターンの決め手は?
サラリーマンを辞めて転職を考えていた時“農業”という職業に出会い、そこに親戚がいたから。
暮らしている地域の好きなところ
街に近くて温泉もあるし、人が暖かいところ
かごしま暮らしを考える同世代へひとこと
鹿児島の人は前向きな人が多いから一緒に汗をかきながら応援してくれます。ぜひ鹿児島へ!