鹿児島県奄美市名瀬の小湊集落(栄嘉弘区長)で14日、子ども会と町内会による田植えがあった。小湊小の児童や地域住民、奄美看護福祉専門学校の学生など約60人が参加し、苗の植え付けの共同作業に汗を流した。
10年以上前から続く地域の稲作活動の一環。旧暦8月15日に行われる同集落の十五夜祭りで、厄よけとして用いられる縄の材料となる稲わらを確保するため毎年実施している。
この日は午前9時から約1時間半の作業。参加した人たちは0・5反ほどの広さの田んぼに入って一列に並び、もち米の苗を一本ずつ丁寧に植え付けた。子どもたちは生き物を捕まえて遊んだり、泥遊びを楽しんだりと自然に触れ合いながら田植えを体験した。
植え付けを指導した川畑賢一さん(80)によると、収量は毎年150キロほどで200キロ近く取れる年もある。収穫したもち米は12月の餅つき行事で使用し、一部は小湊小の児童らが販売する。
小湊小の児童は「人差し指分(の深さ)まで苗を泥に入れて植えた。楽しかったけど疲れた」と作業を振り返り「餅つきが楽しみ。家族に分けてあげたい」と笑顔を見せた。
奄美看護福祉専門学校からは2、3年生10人が参加。徳之島町出身で看護学科2年の玉城蘭さん(19)は「田植えをしたのは初めて。集落の人たちとみんなで作業し貴重な経験になった」と話した。
川畑さんは「地域の文化を残していけるよう、自分が先輩から教わってきたことを子どもたちに伝えていきたい」と語った。