山口しおりさん・翔太さん/やまぐち農園

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人口123の小さな町から、カラフルな野菜やエディブルフラワーを届ける

赤や黄色のナスタチウム、紫のビオラ、青いコーンフラワー、オレンジ色のカレンデュラやレモンマリーゴールド、「やまぐち農園」のインスタグラムに上がる鮮やかな花の写真。なんとこれらはすべて食べられる花。エディブルフラワー(食用花)といって、料理やお菓子に添えて、島のホテルやカフェで使われている。
エディブルフラワー以外にも、真っ赤なビーツや韓国料理によく使われるエゴマ、青汁でおなじみのケールなど、ちょっと珍しい農作物から、ポンカン、タンカン、パッションフルーツといった屋久島の特産品、オクラやトマトやピーマンといった家庭の定番まで、野菜約30種類、ハーブ類約20種類、果樹約20種類、農薬を使わずに、少しずつ育てている。

農園をはじめたのは、植物と自然が好きな翔太さんが、プランターで家庭菜園を始めたことがきっかけだった。子どもが生まれてからは、収穫体験や採れた野菜を喜んで食べてくれる様子に幸せを実感。2021年、しおりさんの故郷である島の北西部の吉田集落に引っ越してから、自宅横の畑を借り、さらに多くの野菜を育てるようになったことで、「やまぐち農園」を立ち上げ、農作物の販売をスタートした。

翔太さんがメインで生産にあたり、しおりさんがインスタグラムやラインアカウントの運営と配達を行う。
すべて露地栽培のため、エディブルフラワーは、冬の間、しばしお休み。1、2月は椎茸、小かぶ、ラディッシュ、紅芯大根、サンチュ、ルッコラ、ミックスリーフ、ハーブ、ケール、プンタレラ、カリフラワー、ビーツ、赤キャベツなどの出荷を予定している。

「加工品や関連商品の開発、販路開拓にも取り組んでいきたい。吉田集落に販売拠点をつくることも考えている」と語るしおりさんは、吉田区の役員でもある。
2024年は、娘の保護者仲間2人と「ねっか かたーんか みんなでワイワイ よいら市」を企画。「吉田ふれあい館」(屋久島町吉田)に地元吉田を中心とした屋久島各地から事業者や団体を集め、地元で収穫された野菜や花、郷土菓子の販売やリサイクルコーナーのほか、水産加工品、焼き菓子店や飲食店が一堂に会す市を3回開催した。

「よいら」は「吉田」、「ねっか かたーんか」は「みんな参加しませんか、語りませんか」を意味する、吉田地方の方言。吉田集落は屋久島北部にあり、人口123人、74世帯(2024年11月現在)が住む。「コロナ禍のイベント縮小の影響で、同じ集落に住んでいる人と顔を合わせる機会がぐんと減った。みんなで集まるイベントを開催することで、高齢者の困りごとや要望を直接聞いたり、リサイクルコーナーなどを通じて役に立つことができるのでは」と話す。

迎え入れるだけでなく、「やまぐち農園」として、栗生集落の「みなみのつながるマルシェ」など、他集落のイベントに出向くこともある。
出店希望の問い合わせも増えてきたが、「主体は吉田集落の住民」という基本を見失わないよう、集落の様々な世代の協力を仰ぎながら続けていく。
次回の「よいら市」開催は、2月24日(月・休)の予定。


 

やまぐち農園
https://www.instagram.com/yamaguchi_noen2021/

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