喜界島 日本ジオパークに 奄美初、県内4地域目 隈崎町長「ゴールでなくスタート」

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 日本ジオパーク委員会は6日、鹿児島県喜界島を全国で48地域目となる日本ジオパークに認定した。同日午後4時ごろ、喜界町の隈崎悦男町長に同委員会から電話で認定が伝えられた。名称は「喜界島ジオパーク」。日本で初めてサンゴ礁を主な地質とするジオパークで、国内最南端となる。県内で4地域目、奄美群島では初めて。

 喜界島は、過去10万年間で約200メートル(平均で年間約2ミリ)という世界でもまれな速さで隆起を続けるサンゴ礁の島。サンゴ礁が長い年月をかけて隆起し、段丘上の地形を形づくる様子が「生きている地球の動きを実感できる場所」として、地質学的にも国内外から注目を集めている。

 喜界町は2023年6月に隈崎町長を会長とするジオパーク推進協議会を設立。住民ガイドによる島の地質的な魅力を伝えるツアーや、学校での環境教育などジオパーク認定を目指して活動してきた。

 町は今年4月、日本ジオパークへの認定を申請。5月に千葉県であったプレゼンテーション審査を経て、8月に日本ジオパーク委の調査員による現地調査が行われた。6日に東京都で開かれた同委員会の会合で認定が決まった。

 認定に当たっては、喜界島の独特な地形、地質に加え、▽貴重な動植物や人々の暮らしがつくり出す特色ある景観▽町と喜界島サンゴ礁科学研究所の連携による専門的な知見の蓄積や地域の魅力発信▽小・中学校の「サンゴ塾」、喜界高校の「サンゴ留学」など活発な次世代の人材育成▽ガイドなど地域住民による活動の広がり―が評価された。

 6日夕、ジオパーク推進に取り組む喜界町の幹部職員や推進協議会メンバー、町議らが町長室に待機し、吉報を待った。町長から認定が伝えられると、拍手と、歓喜の声が広がった。

 隈崎町長は「7年ほど前から日本ジオパークを目指して、研究者や町民の皆さんの協力をいただきながら取り組んできた。本当にうれしい」と喜びを語り、「認定はゴールではなくスタート。観光面はもちろん、人口減に直面する中、人を呼び込む材料としてもジオパークを生かしていきたい。今後はそのための体制づくりを進めていく」と抱負も語った。

 日本ジオパークは、大地(ジオ)や地質、地形と、その地域の自然や文化、産業とのつながりを生かしたまちづくりを進める地域を認定する制度。今回の認定で、喜界島の地質、自然、文化の価値が全国的に認められ、島の教育、観光、防災、地域振興など各分野の発展が期待される。

 日本ジオパークのうち10地域は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定されている。隈崎町長をはじめ町の関係者は、今回の認定を足掛かりに、ユネスコ世界ジオパーク認定に向けた取り組みにも前向きな姿勢を示している。

喜界島の段丘地形を一望できるテーバルバンタから望む景色=6日、鹿児島県喜界町

 

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