アマミトゲネズミ5匹誕生 平川動物公園=初の繁殖に成功、生態解明へ期待

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 鹿児島市の平川動物公園は26日、国の天然記念物に指定されているアマミトゲネズミの繁殖に同園として初めて成功したと発表した。生まれた5匹が全て順調に生育しており、今後の飼育、繁殖技術の確立や生態の解明への期待が高まっている。

 アマミトゲネズミは、げっ歯目ネズミ科で奄美大島のみに生息する固有種。成獣は体長約9~16センチ、尾の長さ6~13センチ。体重は約120グラム。全身に2センチほどの硬いとげ状の毛があり、発達した脚力を生かしたジャンプで外敵から逃れる。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類に分類されている。

 同省は種の保存を目的に「トゲネズミ類生息域外保全実施計画」を策定し、日本動物園水族館協会(JAZA)と協力して2017年からアマミトゲネズミの飼育を開始。18年9月、宮崎市の動物園で初めて飼育下での繁殖に成功した。

 平川動物公園は22年からアマミトゲネズミの飼育を始めた。繁殖が確認されたのはいずれも飼育下で生まれ、国内の施設から移動されたつがいで、同園が飼育するアマミトゲネズミは今回生まれた子ネズミを加えて計10匹になった。

平川動物公園で生まれたアマミトゲネズミの子ども(同園提供)

 出産日は雌の体重が減少した4月26日とみられ、5月19日にカメラで子ども5匹を確認した。出産から約2カ月たち、子ネズミ5匹は57・0グラム~67・5グラムと順調に成長しているという。

 生まれた子ネズミは一般公開する予定はなく、展示中の成獣も夜行性のため、来園しても直接観察するのは難しいという。同園担当者は「写真や動画で成長を見守ってほしい」とコメントした上で、「世界自然遺産となった奄美大島の自然の魅力や、希少生物を守る大切さを理解するきっかけになれば」と期待した

 同園によると昨年2月9日現在、国内8施設で計77匹のアマミトゲネズミが飼育されている。同園が撮影したアマミトゲネズミの親子の動画はQRコードから視聴できる。

平川動物公園が撮影したアマミトゲネズミの親子動画のQRコード

 

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