奄美大島いきものがたり

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  〇満月の夜に観察しやすい アマミヤマシギ

  夜の林道を歩いている鳥がいれば、それは高確率でアマミヤマシギである。環境省により絶滅危惧種および国内希少野生動植物種に選定されている希少な固有種だ。勘違いされがちではあるが、天然記念物には指定されていない。

  春先には2羽のアマミヤマシギによる繁殖期特有の行動が見られる。オスと思われる個体がメスと思われる個体に対して、頭を低くしながら追尾するのである。3月に2羽のアマミヤマシギが近くにいるときは、この行動が見られることが多い。

  4月頃からは巣立ち直後のヒナが観察できる。アマミヤマシギのヒナは成長が早く、あっという間に成鳥と同じサイズになる。そのため、ヒナを見かける機会は思いのほか少ない。

  アマミヤマシギは新月などの暗い夜よりも満月の明るい夜の方が林道上で観察しやすいという報告もされている。夜間に林道上を移動する姿が印象的であることから夜行性と認識されることが多いが、昼間は森林内でも活動している。

アマミヤマシギ

  〇民家の庭にも生育 コナミキ

  海岸周辺の林床にひっそりと生えているコナミキ。本州中部以西から沖縄諸島にかけて分布している。アカボシタツナミソウなどと同じシソ科の植物で、3月頃から1㌢にも満たない小さな花を下向きに咲かせる。植物を観察する目的がなければ、ほとんど見逃されてしまうような存在感なのであるが、実は環境省(2020)、鹿児島県(2016のレッドリストでは、ともに絶滅危惧Ⅱ類に選定されている。

  奄美大島では民家の庭などで見られる。なぜ絶滅危惧種に選定されているのだろうと不思議に思っていたが、日本本土に生育するものは、開発行為などにより急速に数を減らしている地域があるそうだ。中には絶滅してしまった場所もあるらしい。

  これまでに身近な環境で見られる絶滅危惧種の植物を紹介してきたが、これもまたそうである。コナミキの写真を撮影した集落は、この他にも絶滅危惧種に選定されている植物がいくつか観察できた。身近な環境に目を向けてみることで、新たな発見があることに気づかされることはよくあるのだ。

                                        (奄美博物館)

コナミキ

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