鹿児島県大島郡の町教育委員会は27日、今月5~12日に同町加計呂麻島で実施したドローン(無人機)による戦争遺跡の測量調査の一部結果を公表した。弾薬庫や船のドックなどのほか、爆弾痕とみられる多数のくぼみが確認でき、鼎丈太郎主査は「おそらく1945年の4月に加計呂麻島の瀬相であった大島輸送隊と米軍機の戦闘によるもの。記録はあるが、こうしたものが多数地面に残されていることに驚いた。かなり激しい戦闘だったことがうかがえる」と話した。

ドローン測量で得られたデータを解析し作成した瀬相地区の一部地形情報(瀬戸内町教育委員会提供)
調査は同町瀬相の旧日本海軍の「大島防備隊本部跡」(約30ヘクタール)と同町渡連の「安脚場砲台跡」(約46ヘクタール)の2地区計約76ヘクタールが対象で、これまで未調査だった場所を含む。
毎秒75万発のレーザー照射(人体、動植物に無害)が可能な装置を用いた高精度な計測が特徴で、新たな遺構の発見や詳細な地形図の作成など戦争遺跡の全容解明に向けた基礎データの取得を目的として実施した。
爆弾痕とみられるものが確認されたのは瀬相地区。同地区では45年4月1~2日にかけて、大島防備隊基地へ艦載品の一時荷揚げを行っていた大島輸送隊が米軍機による空襲を受け応戦。同隊の輸送艦と海防艦が撃沈され102人が犠牲となるなど、大島海峡内で最大の戦闘となった。
町教委では得られたデータから遺構や崖面、軍道など詳細な地形情報を把握することで、深い草木に覆われた現地での調査の安全や時間短縮などを見込んでいるほか、文献や聞き取り情報との照合にデータが活用できると期待している。

森林の上空から詳細な地形情報を測量するドローン(瀬戸内町教育委員会提供)