新種が奄美大島、徳之島にも ヤンバルホオヒゲコウモリ

ヤンバルホオヒゲコウモリ
奄美大島に生息する陸生哺乳類の半分以上を占めるのがコウモリの仲間。その数は8種にも及ぶ。2018年には島内に生息していないコウモリの存在が確認され、2021年にはその種が日本初記録のシナオオアブラコウモリであることが発表された。
ヤンバルホオヒゲコウモリは1996年に沖縄島北部のやんばるで新種として発見された。その後、奄美大島と徳之島でも生息が確認された。常緑広葉樹林に生息し、夜になると活動を開始して、小さなか昆虫などを食べる。体長は4、5㌢ほど、体重は10㌘にも満たない。全身は黒色で尖(★とが)った耳や皮膜などの特徴を見れば、他の種類との識別も可能である。
奄美大島に生息する動物は希少な固有種が多いものの、絶滅危惧のランクが最も高い絶滅危惧ⅠA類に選定されている種は植物に比べると少ない。哺乳類ではヤンバルホオヒゲコウモリのみだ。私自身、ヤンバルホオヒゲコウモリは数えるほどしか観察したことがない。
徳之島の固有種 タニムラアオイ

タニムラアオイ
徳之島には4種のカンアオイの仲間が生育している。そのうち、タニムラアオイを含む3種は徳之島固有種で、奄美大島にも生育しているのがオオバカンアオイである。
タニムラアオイはヤンバルホオヒゲコウモリよりも2年前の1994年に新種として発見された。森林内の石灰岩層に生育し、斜面でよくみられる。花は冬に咲き、他のカンアオイの仲間と異なる特徴として、白色の萼片(がくへん)を持つことが挙げられる。そのため、別名「シラユキ」「シラユキカンアオイ」などと呼ばれる。
決して個体数が多いわけではないように感じているのだが、現時点では環境省レッドリストには掲載されていない。徳之島3町が定めている希少野生動植物保護条例には選定されているため、採取等は禁じられている。