くまげキャンプ2024

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Yakushima Filmの松田です。夏休みも終盤を迎えました。今回は屋久島と口永良部島の島を渡ったキャンプの様子をお伝えします。

「くまげキャンプ」は今年で2回目、屋久島、種子島、口永良部島の熊毛郡の島々で本気で遊び、島と島、人と人が繋がるロングキャンプです。

主催のPortalegdeは屋久島が「冒険」をテーマに屋久島を中心に活動する組織でキャンプツアーや今までにないような企画ツアーをクリエイトしています。ちなみにPortaledge=ポータレッジというのは大岸壁に挑戦するクライマーが壁に吊り下げるテントのことで冒険に挑戦する人々の前進基地になり、且つ心休まる帰る場所になれればという思いから屋号にしています。

昨年は屋久島と種子島でのキャンプだったので今回は屋久島4泊、口永良部島3泊の7泊8日のプログラムを組みました。参加者は屋久島、種子島のメンバーに加え島外組の総勢15名ほどでキャンプツアーの開幕です。

このキャンプの目標は「参加者のみんながそれぞれの冒険にチャレンジし応援し会えること」そしてそのマインドを屋久島にいても街にいても持ち続けられること。こどもたちのやりたいに寄り添えるように大人もそれぞれの得意を活かして沢登りやそれぞれのプログラムへ。

夏の屋久島は水遊びが最高です。数千年の木々が生き続ける森から流れ出した水は冷たく気持ちよく、人工物の一切ない天然の川は自然の美しさと危険との向き合い方を教えてくれます。小学1年生から中学生までの多世代キャンプの中で子どもたちは刺激しあい、助けあいながら急速に成長していきます。特に低学年の子どもたちは上級生や大人の姿を見て岩からのジャンプに挑戦したり自分の壁を超えていきます。自然遊びはリスクも伴います。でもそのリスクと向き合い線引きをしたり殻を破ったり。きっと学校だけでは教えることのできないような学びがたくさんあったはず。

食事は毎日薪ストーブで調理をします。現代の生活は火から遠ざかっているのでイチから火で料理を作ることは時間もかかるし火加減も難しいですが味は最高です。何を作るのか段取りを考えて薪を集めて小さな火種を大きくしていく。島外からのこどもは慣れない火に最初は苦戦もしましたが東京では焚き火ができない!と段々と火の魔力に取り憑かれキャンプが終わる頃には全て任せられるほどに逞しくなっていました。

千葉からの参加者の生き物大好き少年のキャンプの目標は「オオウナギを獲りたい」このチャレンジを叶えるために行ったことのない川へGO。捕獲班全員の力と個性を合わせて1m越えの大物含め3匹のウナギをGET。オオウナギは大味だというけれどちゃんと処理したオオウナギは冒険で疲れた僕たちの胃袋を十分に満たして明日のエネルギーへ。自分で撮った命に自分で責任を持ち食べる、片付ける。本来は生きる基本のことですが改めてそのありがたさと大変さを感じることができたと思います。

屋久島で水の豊かさを満喫し次は火の島、活火山の口永良部島へ。町営のフェリー太陽2で約1時間半で人口100人の島に到着です。行きのフェリーは貸切状態でした。エラブの魅力は豊かな海と温泉と自販機が島に1つという圧倒的な人工物の少なさです。隣の島ですが植生も動物も違い、人々の暮らしもまるで違う。すごく魅力的で美しいエラブの良さを伝えたい、エラブに生きる個性豊かな仲間と一緒にこれからの未来を創造したいというのこのキャンプを始めたきっかけです。もちろん種子島も。熊毛の島々の動線が太くなりお互いの島の良さを知り、認め合いヒト×ヒト、自然×ヒトの掛け算が起こることでこの地域に生きる人々のふるさとと言える場所が増えていけば嬉しいです。

※軽トラが走っているのは私有地で公道ではありません

口永良部島は島の全体が国立公園になっているのでキャンプをするには特別な許可が必要です。くまげキャンプでは環境省をはじめ行政などに理解をいただき素晴らしいロケーションの中で水道も電気もなく本当の冒険的なキャンプを行うことができました。

キャンプ地では夜に繁殖期を迎えたエラブオオコウモリが飛び回り、街灯も何もない自然そのままの世界では満点の星空が広がります。空を見上げながら1日を振り返る。大人もこどもも天の川の美しさに感動し流れ星に歓声があがります。

エラブでの3泊のタンパク質は自分たちでなんとかしよう。キャンプ地のすぐ近くの海は全国から釣り好きが訪ねるほどのポイントでコバンアジやハタなどの美味しい魚が釣れ食材が限られた食卓から豊かな食卓へ。魚を上手く捌くのは難しいですが命を余すことなくいただくためには必要なスキルです。トライアンドエラーの中で大人が手本を見せる中でどんどん上手くなっていきます。板前のような表情で生命が食材になっていきます。

釣りだけだなく素潜りでも獲物を狙います。正しく潜ること、実際に魚を付くことは島の子でも中々経験がなくチャレンジングでした!

こどもは遊びと発見の天才です。スマホもタブレットもない中で1週間を過ごすことは日常では中々ないかもしれませんが、自然という遊び道具があふれる何もない中で遊びをクリエイトしていきます。セミの羽化を真剣に見つめる表情、友達がいればそれだけでHAPPYな女子たち、島のじいちゃんと遊ぶ姿、ゴザを飛び越える遊びを始める姿、そのどれもが美しく愛おしくスタッフもたくさんのギフトをいただきました。

海からたくさんの命と経験をいただいたお礼に少しですがビーチクリーンを行いました。口永良部島は漂流ゴミが屋久島より目立ちます。これは大陸の方から流れてくるゴミを屋久島へ届く前にキャッチしてくれているからです。プラや漁具など様々なゴミがありますが綺麗な半透明のブイに目をつけたこどもから「これキャンプ地に飾り付けたら映えるんじゃね?」という声が上がりました。屋久島での祭りの花火の音が聞こえる中ささやかですが手作りの祭りを開催することに。ゴミであるはずの漁具は装飾へ変わり僕たちの思い出の1ページに刻まれました。

今回のキャンプではシェアの時間をしっかりと作り仲間がどんな冒険したいのか?今どんな気持ちなのかを大人も含めて共有しました。火を囲み輪を作りそれぞれの想いをアウトプットする。相手をリスペクトし放たれた言葉に耳と心を傾ける。緊張や恥ずかしさもあったけれど紡がれた言葉の一つ一つが未来への礎になるはずです。こどもだけでなく大人も本気で遊び過ごす7泊8日のキャンプはただの体験でなく、確固とした経験となりその経験が屋久島憲章にある「自然とのかかわりかたを身につけた子供たちが、夢と希望
を抱き世界の子供たちにとって憧れであるような豊かな地域社会」を作っていくことになればと思います。

Photo & Text:松田浩和
Portaledge:Yakushima Outdoor School

口永良部島、屋久島、種子島を拠点に展開するアウトドアスクール
インスタグラム:https://www.instagram.com/portaledge2024/
HP:https://portaledge.cloud/

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