たくさんの大根を収穫し笑顔で見せてくれた

出水市 二拠点生活で、心豊かな暮らしを(後編)

投稿日:2021年3月23日 更新日:

プロローグ

2018年にご主人の地元である出水市へ移り住んできた井町さんご夫婦。アトリエ(Atelier naori)には、美しいステンドグラスのランプやパネル、奥さまが手がけた可愛らしいアクセサリーが並ぶ。
東京と出水市を行き来する二拠点生活に不便はないのか。この暮らしを選択した井町さんご夫妻の感想を伺った。

インタビュー:満﨑千鶴 撮影:高比良有城 取材日:2021年2月

移住への不安

東京と出水市を行き来する“二拠点生活”を続けている井町さんご夫妻。直紀さんは出水市を離れ25年。美穂さんも住み慣れた東京を離れることに不安はなかったのだろうか。

「かごしま暮らし」二拠点生活で、心豊かな暮らしを/井町直紀さん・美穂さん

「今は昔と違ってインターネットの環境も整っているので不便もないし、特に不安はなかったですね。“同じことをどこにいても出来る”のなら、周りを気にせず豊かな生活を楽しむことができる出水の方がいい(笑)でも、やっぱり二拠点生活になると、なかなか仕事が進まずうまくいかないこともあります。今はスケジュールをうまく調整しながらやっています。」と直紀さん。

「かごしま暮らし」二拠点生活で、心豊かな暮らしを/井町直紀さん・美穂さん

「出水に帰ることが現実化してきた時は、正直すごくで不安いっぱいだったけれど、“行けばなんとかなるか!”という自分もいて(笑)。迷っていても仕方ないので私は『決断』することを先にしました。そのあと自分の気持ちを整えていく作業を。でも今は、出水の自然に包まれて心が広がる感覚を実感しています。不便を感じるのは買い物くらいかな?(笑)洋服やインテリア商品などのお店が東京では自転車で行ける距離にあったし、車の免許は持っていたけれどペーパードライバーだったのでその辺は不安でした(笑)。今は必要最低限のレベルではあるけれど、なんとか慣れてきました。」と笑う美穂さん。
住み慣れた地を離れることは決して簡単な決断ではなく、悩んだり戸惑うこともあるのが当然ではあるが、いつも前向きな2人の姿勢が“豊かな暮らし”へ繋がる後押しとなったようだ。

2人が愛する“出水の空”

出水市は、ツルの渡来や武家屋敷だけではなく、箱崎八幡神社の日本一大きな鈴や八坂神社の日本一大きなお地蔵様など、実は“日本一”の宝庫。

箱崎八幡神社の日本一大きな鈴

箱崎八幡神社の日本一大きな鈴

渡来数と種類の多さは日本一。「鹿児島県のツル及びその渡来地」として国の特別天然記念物にも指定されている。

渡来数と種類の多さは日本一。「鹿児島県のツル及びその渡来地」として国の特別天然記念物にも指定されている。

そんな出水市に移り住んできた2人にこのまちの魅力を聞いてみると、ほぼ同じ回答だったのに驚いた。
「このまちで一番好きなのは『星空の美しさ』。いっぱいに広がる満天の星はいつ見ても最高です。こんなに開放感のある風景はなかなかあるものではありません。庭から見える紫尾山も石積みの町並みもすごく素敵です。」と話す直紀さん。
「私はもともと雲をみるのが好きで。東京でもよく空を眺めていました。ビルが立ち並ぶ東京の空は “四角い空”だったけれど、出水の空はパノラマ。とにかく広い出水の空が大好きです。子どもともよく空を眺めては『みてみて、あの雲みて。あ、ほら少し形変わったね』なんて会話をすることも。紫尾山から昇る朝日を毎日チェックするのも日課で、朝日を浴びてよし!と毎日エネルギーをもらっています。青い空に白い雲、田んぼの緑とか。これまでの私にとって、こんな美しい景色が“当たり前にあるもの”ではなかったので、何でもない日常の景色にさえ感動しています。今は不安を感じていた時の景色とは全く違って見えています」と美穂さん。

大きく広がる出水の空

大きく広がる出水の空

2人はこのまち“空が好きだ”という。
確かに、このまちの空は広い。大きく広がる空に、一万羽の鶴が羽を広げ優雅に羽ばたく様子は想像するだけで心が踊る。そして日が沈むと姿を現す満天の星。「テレビを消して、空を見よう」そんな会話が井町さんご家族の間で日常的に交わされているかと思うと、とても素敵だ。

現在の仕事とこれからの目標

現在、お2人は自宅に併設するアトリエでステンドグラスの制作・販売を行いながら、お庭の畑で野菜を育てている。

お庭の畑

お庭の畑

畑を案内してもらうと、井町さんご夫婦が大好きだというアーティチョークやそら豆・大根が元気に育っていた。

井町さんが大切に育てた大根

井町さんが大切に育てた大根

「大根は、土に埋まっている時は立派に見えるけど、抜いてみると、ホラ!(笑)今年はちょっと小ぶりで(笑)」

たくさんの大根を収穫し笑顔で見せてくれた

たくさんの大根を収穫し笑顔で見せてくれた

2人で次々と引き抜き見せてくれた大根は確かに少し小ぶりではあったが、時より長めの大根を発見すると、「あ!これは大きい〜(笑)」と、とても嬉しそうな表情を見せる。楽しそうな2人の様子をみていると“幸せ”な感情は伝染し、みんな笑顔に包まれていた。

アトリエで制作に励むお2人の様子

アトリエで制作に励むお2人の様子

「出水に戻って来て時間に追われることが無くなり気持ちに余裕を感じています。描く線にも余裕があるかな、と。(笑)お庭で楽しく自給自足をしながら、作り続けていく事が出来たらいいな。ステンドグラスは歴史も古く、そしてこれから先もずっと残っていくものだから、“飽きが来ず主張しすぎない”そこにあるだけで落ち着くような作品作りをしていきたいと思っています。」と話す直紀さん。

井町さんが制作したステンドグラスのランプ

井町さんが制作したステンドグラスのランプ

二拠点生活で、心豊かな暮らしを

美穂さんが制作したステンドグラスのアクセサリー

美穂さんが制作したステンドグラスのアクセサリー

「ステンドグラスに関しては、出水のパノラマの空の下、ゆったりと制作する時間が作品にどのように反映され、そして表現していけるのか。1人でも多くの方にステンドグラスの魅力を知っていただけるようなアトリエにしていくことが出来ればと思っています。生活に関しては、自然を身近に感じながら自分たちのお庭で育てたお野菜を夕食前に収穫して食べる。それって幸せ! “美味しい〜!”て叫びながらみんなで食べる生活をこれからも続けて行きたい。私が移住してくる時の目標は、“家族で楽しく幸せに暮らすこと”だったので、私の中の小さな目標は今少しずつ叶い始めています。」と笑顔を見せる美穂さん。
2人が目指した“豊かな暮らし”を『二拠点生活』という手段で形にした井町さんご夫妻の表情は、大きく広がる出水の空のように開放感に包まれていた。

仁禮さん かごしま暮らしメモ

かごしま暮らし歴は?

3年

U・I・Jターンの決め手は?

鹿児島で生活する両親のことを考えて。

出水市の好きなところ

直紀さん:星空/美穂さん:空

かごしま暮らしを考える同世代へひとこと!

直紀さん:“移住”となると、近所付き合いとか…難しいことを考えがちだけど、想像するほど大変なことではないので、思い切って飛び込んでみてください!
美穂さん:最初は不安でいっぱいになると思うけれど、勇気を出して足を踏み出せば、“自然の中に自分がいる”という感覚が心地よくなり、周りが固まっていくイメージに。少しずつ移り住んだ土地が自分の居場所となり、もっともっと好きになるはずだから。一歩踏み出してみて!

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