中島 晶子(なかじま あきこ)

かごしまに関係するヒト。no.3

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中島 晶子(なかじま あきこ)

NPO法人ふるさと回帰支援センター 鹿児島県 移住・交流相談員
鹿児島県鹿児島市出身。鹿児島市と福岡県久留米市で育ち、大学進学を機に鹿児島から大阪へ。卒業後、大阪・広島・東京で企業ショールームやシェアオフィス運営会社勤務等を経て、2017年4月より現職。

オンラインツールの活用で移住相談がもっと身近に!

東京・有楽町で、地方暮らしやI・J・Uターンを希望する人の移住相談を受け付けている「ふるさと回帰支援センター」。東京・大阪を除く45道府県の自治体と連携し、移住に関するさまざまな情報発信が行われている。ここで鹿児島県担当を務めている中島晶子さんに、移住相談の現状や、相談員として感じる鹿児島への思いを聞いた。

かごしま暮らし:移住相談員のお仕事についておうかがいます。業務の内容や、相談員として心掛けていることがあれば教えてください。

中島:まずは、どんな思いを持って相談に来られたのか、移住したいと思ったきっかけや求める暮らしのイメージをお伺いします。漠然と鹿児島に興味をお持ちの方も、何度も訪れていて、鹿児島が大好き!という方もいらっしゃいます。具体的に時期を決め、移住先での暮らしを思い描いている方、時間をかけてじっくり考えていきたいという方もいて、仕事のことから暮らしのことまで、お一人お一人相談の内容はさまざまです。そのため、鹿児島の「いま」をお伝えできるように、広くアンテナを張ることを心がけています。

かごしま暮らし:どのような方法で情報収集していますか?

中島:鹿児島県内各市町村の移住を担当されている方と日頃から情報共有をしています。 移住者受け入れの状況や、移住促進に関する支援・取り組みなどの情報を教えていただき、こちらからは相談窓口の状況や相談の傾向をお伝えするようにしています。

また、心強いのは各地域で活動している地域おこし協力隊の皆さんの存在です。地域おこし協力隊は先輩移住者ですので、移住前の準備をはじめ、移住後の暮らし、地域との関わりなどの体験談が、移住を考えている方にとって大変参考になります。地域に根ざした活動の中で人とのつながりを築いていらっしゃるので、どんどん輪が広がっていきます。

相談窓口では1人で対応していますが、鹿児島県庁や市町村の担当者さんをはじめ、地域おこし協力隊や地域の方々、そして先輩移住者さんたちも含め、「チーム鹿児島」という感覚で相談対応をしています。これからも鹿児島の各地域とたくさんのつながりをもって、相談者の方々の思いに寄り添い、 丁寧に橋渡しをしていきたいと思っています。

中島 晶子(なかじま あきこ)

コロナウイルス感染対策が施された相談窓口のようす

かごしま暮らし:コロナウイルス感染拡大を受けて、移住相談のお仕事ではどのような変化がありましたか?

中島:緊急事態宣言の発令期間中は対面相談を見合わせ、 電話やメールでの対応に切り替わり、オンライン相談がスタートしました。はじめは、こちらも相談者さんもお互いに慣れておらず、オンラインならではの緊張感もありました。一方で、オンラインだからこそできることもあります。

例えば、窓口で対面相談されるのは東京及び関東圏にお住まいの方がほとんどでしたが、幅広い地域の方々とオンラインで顔を合わせながらお話しできるようになりました。セミナーなどのイベントもオンライン開催に切り替えたところ、関西や海外の方もホームページで情報をキャッチして、参加してくださいました。
2020年9月に開催した、「島暮らし」がテーマのオンラインセミナーは、5島8市町村をつないで実施しました。各島の様子を現地からリアルタイムで現地からお届けし、オンラインならではの臨場感があり、参加者からも好評でした。

セミナーに参加する側にとっても、自宅から参加できるため「ちょっと話を聞いてみたいな、覗いてみたいな」という感覚で、以前よりも気軽に参加できるようなったという声もあります。

かごしま暮らし:なるほど。オンラインツールの導入によって、これまでネックになっていた物理的な距離を越えて、新たな可能性が広がっているのですね。

中島:そうですね。個別相談を実施する際も、相談者さんとわたしと鹿児島の市町村と、三拠点をつないでお話しができるので、情報の交換や共有がとてもスムーズだと感じています。オンラインで顔を合わせておくと、相談者さんも市町村の担当者へ連絡しやすくなります。直接会うことができなくても、オンラインで顔を合わせることは、安心感に繋がると思います。オンラインを上手に活用して、皆さんの不安や負担を少しでも軽くできたら嬉しいなと思います。

かごしま暮らし:相談件数や相談内容で感じた変化はありますか?

中島:相談件数に大きな変化はありませんが、「いつか移住したい」という漠然とした相談よりも、具体的な相談を受けるケースが増えたと感じています。
このコロナ禍、緊急事態宣言のようなこれまでに経験したことのない事態が起こり、「自分の生き方や暮らしの中で大切にしたいものを改めて考えた」という声も多く、移住に対して前向きに背中を押されたと感じている方もいらっしゃいます。

移住を決めるには、現地に足を運ぶことが、とても大切です。通常であれば、お試し移住などの体験をお勧めするのですが、いまはまだコロナの影響が続いている状況なので、現地視察や移住体験については、感染状況や現地の受け入れ体制などを確認しながらご案内しています。

お試し移住は、お試し住宅で鹿児島の暮らしを体験したり、移住体験ツアーとして複数の地域をめぐったりするものもあります。旅行ではなく「暮らす」という視点で滞在することで、移住先での暮らしを具体的にイメージできます。また、興味のある地域だけでなく、周辺の地域もめぐったことで、自分にぴったりの場所に出会えたという方もいます。
その地域の雰囲気や空気感、地域に暮らす人々との触れ合いも楽しみながら、「ここで暮らしたい」と思う地域を見つけてほしいと思います。

中島 晶子(なかじま あきこ)

鹿児島に帰るたび、大好きな桜島にもよく足を運んでいます

かごしま暮らし:中島さんが体感してほしいと思う、鹿児島ならではのまちの魅力ってどんなところですか?

中島:移住相談に来る方々もよく口にされるのですが、人のあたたかさは鹿児島の魅力だと思います。
例えば、温泉に行って、たまたま隣になったおばちゃんが話しかけてくれた、道ですれ違った子どもたちがあいさつをしてくれたなど、人との心地よい交流がある日常に惹かれて鹿児島を好きになる方も多いですね。
そして、中心市街地でも自然が豊かなこと。なんといっても市街地と桜島の距離が近いことに驚かれる方が多いですよね。「桜島ってこんなに近くにあるの!?」って。私も鹿児島を離れてからは、帰るたびにどーんと迎えてくれる桜島には元気をもらっています。大好きな景色です。

鹿児島県は離島も含め南北600㎞あり、地域の多様性もひとつの魅力だと感じています。選ぶ地域によって、環境も、文化も、生活スタイルもさまざまです。いろいろな地域を訪ねてみると、きっと「ここが好き」「居心地がいい」と感じる場所に出会えると思います。実際に鹿児島を訪れて肌で感じてもらいたいなと思います。

私自身も、地域のことを知れば知るほど鹿児島には宝物がまだまだたくさんある!と、驚かされています。これからも宝物をどんどん見つけて魅力を伝え、鹿児島のファンを増やしていきたいです。

かごしま暮らし:最後に、今から移住をされる方や、移住を検討している皆さんへメッセージを。

中島:移住は、自分がかなえたい暮らしをスタートするための選択肢のひとつだと思います。いろんな方とお話しして、地域のことを知りながら、「ここで生活して、自分の思い描いている暮らしを実現できるかな」と、じっくり考えて選択してほしいです。

移住する方を増やし、地域を盛り上げるのは大事なことですが、相談者の方が最善の選択をできるようにお手伝いすることが、自身の役目だと思っています。相談窓口では、情報を得ることはもちろん、話しながら自分の考えや気持ちを整理するきっかけにしてもらえたら嬉しいです。オンラインでも窓口でも、ぜひお気軽にご相談ください。

中島 晶子(なかじま あきこ)

インタビュー・テキスト:瀬戸口奈央
取材:2020年12月

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