かごしまに関係するヒト。no.1

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菅松柚香(すがまつ ゆずか)

宮城県仙台市出身。大学進学を機に東京へ、大学卒業後1年間のギャップイヤー(自ら作り出す空白の期間)を取得、2020年3月の就職を前に、2019年11月から4ヶ月間限定で鹿児島に移住。高校時代は駅伝部に所属し、現在はトレイルランニングと、走り好きが相まって、いつも鹿児島市内をドタバタと走り回っています。笑

「せんだい出身なんですー。」と自己紹介をすると
「同じだ、私も!」と何とも偶然、同郷の方に出逢うことが多く、「いやぁ、こんな離れた土地でご縁もあるものね。」と思っていたところ、なんと日本には”せんだい”が2つあるのですね、鹿児島の薩摩川内市と、宮城県の仙台市。

そんな不思議なご縁(恥ずかしい勘違い?)と共に、2019年11月から本格的にかごしま暮らしが始まりました。
改めまして、菅松柚香と申します。鹿児島では、ゆずちゃんという愛称で呼んでもらっています。

半年前までは、都内の教育系ベンチャー企業で小学生向けのファシリテーションとワークショップ設計を勉強していました。

また、発達障害の学習支援に携わる中で、受け手側の視点が変わることで解決できる社会問題があると考えるようになり、
そういったネガティブなイメージで捉えられがちな物事を違う角度から捉えて、既存の価値観や概念を改めて考え直すきっかけをつくれるソーシャルプランナーになりたいと思い、4月より都内のPR会社に入社予定なのです。

就職までの残り時間、実際のアウトプットを通じて自身の課題を認識したり、体験を通じて自分の在りたい姿を考えたいと思い、腰を据えて学べる場所を探していました。

そうして見つけたのが、ここ鹿児島。
縁もゆかりもない土地への4ヶ月移住と長期インターンを決めた理由は、インターン内容・それを支えてくれる人共に、この環境であれば自分の価値観を大事にしながらチャレンジができると思えたことが大きかったですね。

現在は、鹿児島市長田町の南風病院に隣接している、みなみの薬局という調剤薬局でインターンをしています。ですが、もちろん薬剤師のインターンでありませんよ。イベントやプロジェクトの企画を担当しています。

「薬局で企画ってどういうこと…?」と思われた方もいらっしゃるかな。おそらく「薬局」と聞いて、みなさんがイメージする場とここはちょっと違うかもしれません。

軒先にはカウンターがついていることもあり、ご近所の方に「あれまぁ、カフェだと思ってた!」なんて言われたりするほど。笑

来局者の健康を支えるために、薬を調剤する役割を持つ調剤薬局。ですが、調剤された薬だけではなく、美味しいご飯や好きな音楽、居心地のいい場所、人との繋がりも同じように人を元気にするもの。

だとすれば、処方箋の有る無しに関わらず、その人の健康や元気を支えることができるかもしれない。まずは、薬局と鹿児島市民の繋がりづくりをしていきたい、という代表・原崎大作さんの想いを最初の灯火に、小さな実験をいくつも始めているのがここ、みなみの薬局です。

調剤の待ち時間という退屈なイメージをもつ薬局を、少し違う角度から捉えて、企画を打ち出していく、私がプランナーとして取り組みたいテーマに近いものを感じたのです。

具体的にこの3ヶ月間で行ったことは、
平日夜・休日など営業時間外の薬局を活用しイベントの企画実施したり、店内の書籍の貸し出しを可能にする図書館化、店内で販売している鹿児島産品の販売コンセプトを考えたり…処方箋の有る無しに関わらず、この場に足を運んでくれるきっかけづくりを考えて実践しています。

例えば、イベントは、音楽・本・アイデアワークショップ・ボードゲームなど、薬局からは連想できないようなジャンルのテーマを掛け合わせています。

この日は、薬局×本で、「とりかえっこ書店」というイベント。それぞれ自分が好きな本を紹介しあい、お互いの興味が合えばマッチング成立!本をとりかえっこして帰ることができます。この日は実際に何ペアか成立、貸し借りをして帰る人もいました。

この日は、薬局×子どもで、「アイデアワークショップ」を実施。自分が元気にしたい対象を1人決めて、その人を元気にできるアイデアを考えて、ダンボールや100均グッツを使って製作!「ひっくり返すと朝or夜バージョンと姿を変えるまくら」や、「つけるだけで元気になるヘアゴム」など既存の薬のかたちに囚われない、斬新なアイデアが生まれました。

実はこれらのイベントは、鹿児島県内の学生さんや社会人など、薬局外部の人が企画の主体となって実施してくれたものです。参加者から企画者となり、この場を一緒に作ってくれる仲間になる、時間や想いを共有する、さらに人が集まって…と、嬉しい化学反応がゆるやかに起こり続けています。
https://www.facebook.com/minaminoooo/?modal=admin_todo_tour
こちらからイベント情報を更新中、ぜひ遊びに来てください。いつでも、どなたもお待ちしていますね!)

また、鹿児島で地域と社会課題解決のサポートを行なっている一般社団法人 鹿児島天文館総合研究所Ten-Lab(通称テンラボ)の白水梨恵さんには、進捗確認や相談などインターンのサポートをしてもらっています。

それだけではなく、4ヶ月間の住まいや同年代の友人を紹介してもらったり、家電や自転車を貸してもらったり、南九州最大のお祭り・おはら祭や霧島の天神降臨祭に連れて行ってもらったり(どうしてそんなところまで気がついてくれるのだ…!)と思うぐらいに。インターンや仕事内容以上に、私生活面まで心遣いをしてくれる人が他にもたくさん居てくれたというのは、本当に大きな支えでした。

というのも私の場合は、東京から身一つで来てしまっているので、住まいなどの生活面や人の繋がり、何もかもが当然のごとく0からのスタートでした。

どんな活動をするにしても、生活の基盤が整ってないままに続けていくのは少し心細いことです。が、そんな不安もつかの間でした。
また、観光や旅行パンフレットには載ってない”その人”との出逢いによって、この4ヶ月という短い時間にも関わらず、より深く、鹿児島の方に受け入れてもらっているなぁと感じられたり、より地元の人の感覚に近いだろう視点で一緒に何かをみて話したり、感じることができたり。

「両棒餅まだ食べたことないの?じゃあ、両棒餅ツアー行こう!」
「よそ者とか言わないでくださいね。もうあなたは立派なプレイヤーなんですから」
「もし年末年始鹿児島にいるなら、みんなで一緒に日の出を見に行こうと思って」
「遠く鹿児島まで来てくれてありがとう。出来ることがあれば、何でも言ってね」

こんなによくしてもらっていいのかなぁ〜…ハァ。とホッとしてため息が出るぐらい、鹿児島で出逢った人1人1人には、心の琴線をやさしく、力強く弾いてもらっていて、その度に私は鹿児島で過ごすことへの心強さを感じています。

縁もゆかりもない鹿児島で、今もなお自分の価値観を大事にしながらチャレンジができているのは、こういう私を受け入れてくれている鹿児島の方々のお陰です。ありがとうございますは、何回言っても足りませんね。

インターンも残り1ヶ月なく、3月頭には東京に帰る予定ですが、

その土地の名前を聞いた時に、誰かの顔が思い浮かんだり、思い出し笑いしちゃったり、そういう場所が1つ増えたんだと思うと、すごく幸せだなと思います。鹿児島って聞いたら、ポンポンと次から次に、頭の中に顔が思い浮かびますよ。あの人とあの人たちと…多分これを読んでくれている人の顔も。

あと、今日ちょうど、面白いなぁと思ったことがあって
夕方の交差点でばったり出会った人がいたんです。その人たちとは鹿児島市内のイベントで2回ほど会って話した人なのですが、「ちょうどさっき、ゆずちゃんのこと話してたよ〜」なんて、偶然会ったことに驚く様子もなく、普段通りに話し始めるんですね。


そういえば、別の場所で別の人に、偶然出会ってもだいたいみんなこんな様子だよなぁ、と思います。「ああ、いたいた!」みたいな。笑

東京都内で誰かに会うと、結構驚くんですよ。「こんなところで!奇遇だねぇ」と。
自分の日常の中で突然、思いも寄らない誰かに出会うということは、ある意味、非日常が連続しているかのように感じます。

でも、「あ、いたいた。でさぁ…」な鹿児島では、それぞれの日常の中にも、ゆるやかに相手の人が在るんじゃないかなと思います。

今後も、ちょくちょく遊びに来ますので、「あ、いたいた。この前さぁ…」とそんな感じで、ばったり会いましょう!

-鹿児島と関係人口