画面越しに健康チェック 鹿児島県=瀬戸内町で実証実験、離島結びオンライン診療

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 鹿児島県は21日、瀬戸内町古仁屋と同町与路を結んでオンライン診療の実証実験を実施した。瀬戸内町へき地診療所の医師がインターネット回線を介して画面越しに与路島の住民5人の健康状態をチェック。将来の実用化を見据え、運用上の課題などを探った。

 実験は県が進める「へき地診療所等オンライン診療実証モデル事業」の一環。今年度は瀬戸内町と屋久島町を実証地域に選定した。実験のために県庁の担当者と事業を請け負う民間業者の計3人が来島した。

 与路島には33世帯44人(9月末現在)が居住。島内の診療所に看護師1人が常駐し、2週間に1回の巡回診療も行われている。オンライン診療は巡回診療を行っている瀬戸内町へき地診療所所長の松田耕輔医師(33)が担当した。

 診療はタブレット端末を利用して行われ、松田医師は現地の看護師が測定した血圧などのデータを参照しながら、受診者を問診。現地からリアルタイムで送信される心音や呼吸音などもヘッドホンで聴き取りながら健康状態をチェックした。

 さらに、受診者からも薬の処方を頼んだり、症状について質問したりするなどの双方向でのやりとりが交わされた。受診した70代女性は「画面越しということ以外は普段の巡回診療と変わらない。先生と直接話せるので安心できる」と感想を語った。

 松田医師は「対面の診療と比べて少し時間がかかるのと、心音などの音声情報に雑音が入るなど改善の余地はあるが、健康状態のチェック程度なら現状で問題ない」と評価した上で、「地方の医師不足や、移動の負担、悪天候による欠航のリスクなどが改善できる可能性がある」と今後の本格運用に期待した。

 県の担当者は「通信の質や、会話の遅延などで支障が出ないか不安だったが問題はないと分かった。今回の実験で得られた知見を活用して早期の実用化を目指したい」と話した。

 

オンラインで与路島の受診者を診察する松田耕輔医師=21日、瀬戸内町古仁屋

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