奄美群島希少野生生物保護対策協議会(会長・川瀨翼県自然保護課長)の2025年度徳之島地区会合が17日、鹿児島県徳之島町・天城町役場であった。関係者20人が徳之島の希少野生生物保護の取り組みの現状について情報共有。島内で7日に昆虫捕獲用のトラップ(わな)が大量に仕掛けられているのが見つかった事案を受け、課題を指摘する声や要望が相次いだ。
同会は世界自然遺産登録地としての価値を維持することなどを目的に設置。年1回、環境省や県、各自治体、民間などの担当者が現状や今後の課題を協議している。16日は奄美大島でも開かれた。
徳之島地区会合で参加者からは、昆虫わなやわなを仕掛けている人を見つけた場合、「土日や祝日はどこに連絡したらよいか分からない。連絡網を整備してほしい」との要望があった。また、6月に発表した島の生き物持ち出し自粛を求める官民の共同声明に関連して、「声明だけでなく3町でもっと強く抑止できるものを考えてほしい」との声があった。
3町の取り組みとして各担当者は「町有地でのわなの設置は町の許可が必要で、その旨の看板を設置している」「区長会でわなの設置を禁止して以降、わな設置の報告はない」などと説明。わなを仕掛ける前に連絡が来る場合もあるが、自粛要請を含めた対応については「難しい」との見方も示された。
希少野生生物の保護対策に関し「各自治体が個別でやるのではなく、徳之島が一体となって進めるべき」との意見もあり、川瀨会長は「課題を整理し、議論を続けたい。今後の協議で実行性のある取り組みをさらに進めていきたい」などと述べた。
このほか、国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故死(ロードキル)半減を目指す対策部会を今年度から設置。徳之島町手々や松原轟木線のロードキル多発地点での防護柵設置を予定している。

関係者20人が参加して開かれた徳之島地区の奄美群島希少野生生物保護対策協議会=17日、天城町役場