奄美の自然を考える会(与名正三会長)主催のサガリバナ観察会が13日夜、鹿児島県大島郡瀬戸内町の伊須集落(白川智津乃区長)であった。同集落に自生するサガリバナの群落は奄美大島でも最大規模とみられ、夜の森に優雅にたたずむ花とつぼみの数々が、参加者を楽しませた。
サガリバナは奄美大島が北限の常緑小高木。枝から垂れ下がった30~60センチほどの花軸に房状に白や淡い紅色の花を付け、多数の長いおしべが丸く広がる。一つ一つの花の開花は一夜限りで、甘い香りを放つ。

20人余りが参加し、サガリバナの開花を楽しんだ観察会=13日、瀬戸内町伊須
同会によると、伊須のサガリバナは休耕田そばの幅約5メートル、長さ約50メートルの地帯に群生する。白川区長(64)によると、群落の集落側では以前からサガリバナを観察できたが、その奥は道が悪く人通りもなかった。3年ほど前に、集落の青木聡美さん(50)が周辺を開墾した際に多数のサガリバナに気付いたという。
白川区長は「奄美で最大規模と聞き、うれしい。集落が誇ることができる財産だと思う」と話し、青木さんとともに「森の道なので、見に来る場合はハブなど足元に注意してほしい」と呼び掛けた。
観察会は数年前から開いており、昨年からは集落の人たちも一緒に参加している。考える会の高槻義隆事務局長(73)は「集落の人たちの意向も確認した上で、サガリバナの本数や大きさ、他の場所にも生息していないかなど調べていきたい」と語った。

一夜限りの花を咲かせるサガリバナ