「ハネズトラギス」と命名 釣った魚の口から日本初記録種発見 鹿大研究チーム

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 鹿児島大学総合研究博物館の本村浩之教授(51)らの研究チームは、奄美大島沖で獲れた魚の口の中から日本初記録となるトラギス科の種を確認し、和名「ハネズトラギス」と命名したと8日、発表した。同種の確認は世界3例目(4標本目)。研究した同大学大学院農林水産学研究科の栗山顕太さん(24)=修士課程2年=は「命名という貴重な経験ができ、ありがたい。今後も鹿児島の海の多様性の評価に貢献したい」と話した。

 トラギス科トラギス属のハネズトラギスはこれまで、「Parapercis moki(パラペルシス モキ)」として、台湾南西部でしか記録されていなかった。和名は、背中の楕円(だえん)形のまだら模様や背中から腹にかけての横帯の色が、伝統色である朱華(はねず)色(赤だいだい色)であることが由来。

 今回確認された個体は2023年6月に、奄美市の名瀬港北方沖20キロメートル、水深300メートルから釣獲されたアカヤガラの口の中から採集された。体長99ミリで、地元水産業者を通じて同大に送られた。

 遺伝子調査などを経て栗山さんが詳しく調べ、歯の形状や背びれのとげの数、体側に幅の広い6本の横帯を持つことなどから、台湾の種と同種と判断した。
 本村教授は「魚類の調査が進む奄美大島周辺でもこうした発見があり、さらなる調査が必要と感じている。やや深い岩礁域は未知な部分が多く、今後調べたい」と語った。 
 研究の成果は日本魚類学会が発行する「魚類学雑誌」で7月5日に公開された。

日本初記録「ハネズトラギス」の標本(鹿児島大学総合研究博物館提供)

 

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