今年4月、鹿児島県奄美大島・大和村思勝(おんがち)にオープンした国の特別天然記念物アマミノクロウサギの研究飼育施設「アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru(くるぐる)」の入館者数が28日、施設名の語呂にちなむ9696人を突破した。9696人目となったのは、鹿児島市から観光で訪れた永田穣太郎ちゃん(4)。チヂン(太鼓)を打ち鳴らすスタッフらの歓迎を受けた。記念セレモニーでは、くす玉を割って祝福し、クロウサギをリアルに再現したぬいぐるみなどの公式グッズが贈られた。
施設は村が運営。獣医師が常駐して交通事故などで傷ついたクロウサギの治療とリハビリを行い、生態の研究を進めるほか、奄美の自然や環境をテーマに活動する学生や研究者を支援するための機能も備える。日中でも飼育中の個体が観察でき、地元産品を使ったドリンクなどが楽しめるカフェや、ミュージアムショップも併設されている。
同村企画観光課によると、オープンから61日(実営業日)で9696人を達成。5月末までの来館者数は7477人で、内訳は村民5・6%、島民66・4%、島外28・0%だった。
穣太郎ちゃんは午前10時すぎに家族や親戚計6人で来館し、スタッフの案内でじっくりと館内やバックヤードを巡った。父裕一さん(41)は「驚いたが、来ることができてよかった。こんなに近い距離で見れることはないと思う。夜の運転は気を付けたい」と話した。クロウサギのぬいぐるみを抱いた穣太郎ちゃんは「黒かった。顔がかわいかった」と笑顔を見せた。
伊集院幼村長は「大島本島を周遊してもらうため、奄美の良さを発信していく拠点が各地域に必要だと思っており、大和村にもやっと足を運んでもらえる場所ができた。夏休みは今まで以上の来客を期待している」と語った。

伊集院幼村長(右)と施設名にちなむ9696人目の来館者となった永田さん家族=28日、アマミノクロウサギミュージアムQuruGuru