鹿児島県喜界町の埋蔵文化財センター(町教育委員会)はこのほど、「喜界島の海辺の植物ミニ図鑑」を発行した。荒木中里遊歩道周辺の隆起サンゴ礁上や、喜界島内の砂浜に生育する主要な植物90種を写真付きで紹介している。さまざまな文献を参考に、それぞれの植物の方言名を記載しているほか、島民視点で書かれた解説文などが特徴だ。
同センターは「喜界島の隆起サンゴ礁上植物群落」が2014年に国の天然記念物に指定され10年を迎えたのを機に、24年度にミニ図鑑の制作に取り組んだ。
地形や地質などの環境変化と植物群落の移り変わりが分かるように、海と陸地が接するみぎわ線から隆起サンゴ礁の後背地までを10区画に分けて、それぞれの環境に生息している植物を紹介。植物の写真と和名、方言名、花期、解説文を載せている。
制作に取り組んだのは同センター職員の松原信之さんと藤崎誠之さん。2人は「分厚い図鑑とは違って気軽に手に取れ、島の人たちに親しみやすいものになるよう心掛けた」「人々の生活に利用されていた植物は、その解説を載せるなど、ローカルな情報が詰まっている」とPRし、活用を呼び掛けた。
ミニ図鑑はA5サイズ全36ページ。同センターや町役場、町中央公民館に置かれており、誰でも自由に受け取れる。

「喜界島の海辺の植物ミニ図鑑」を制作した喜界町埋蔵文化財センター職員の松原信之さん(右)と藤崎誠之さん=5月29日、喜界町