
車で暮らし、働き、生きる、福井まみさんの島の日々
「今日、何しよう?」
朝目覚めて、その日の過ごし方を決める——そんな自由なスタイルで屋久島に滞在している旅人、福井まみさんを取材した。

彼女はウクレレとサーフボード、そしてミシンを積んだバンを拠点に、島での日々を過ごしている。生活の糧は、自ら手作りするオーダーメイドのスイムウェア。2024年の夏に初めて屋久島を訪れ、島の魅力に惹かれて2025年1月、再び島に戻ってきた。
まみさんが“バンライフ”を始めたのは、2021年。オーストラリアで車を探していたとき、偶然見つけた一台のバンを勢いで購入したことがきっかけだった。それ以来、車とともに旅をし、暮らすというスタイルが彼女の日常となった。日本でのバンライフも、この夏で2年目を迎える。

屋久島を訪れるきっかけは、帰国時に友人から「屋久島、いいよ」とすすめられたことだった。
目の前に広がる海に飛び込んで、ウクレレを弾いて、仕事をして、日が沈んだら眠る。
「この島には全部あるんです。自然のリズムと、人との出会い、自分のペースで生きられる感じが心地良い。」と語るまみさん。

彼女が手がけるスイムウェアブランドは、“必要なものを、必要なだけ、必要な人へ”をコンセプトに、オーダーメイドで制作されている。物が溢れる時代だからこそ、“創る”ことの本質を見つめ、一つひとつ手作業で仕立てていく。

ブランド名に選んだのは、ハーブの“thyme(タイム)”。その花言葉は「勇気と大胆さ」、そして「あなたの姿に感動する」。香りには心を癒し、内なる勇気を呼び覚ます力があるとも言われている。
「水着を着ることで、“なんか私、イケてるかも”っていう前向きな気持ちをみんなで感じたい。宇宙にたった一つしかない、自分自身の曲線と形を、愛してもらえたらうれしい。」
水着は、普段着・下着・水着が一体となった3in1デザイン。旅にもキャンプにも、もちろん日常にもフィットし、少ない荷物で暮らすバンライフとの相性も抜群だ。

まみさんのように、数日間の観光ではなく「暮らすように滞在する」旅人と、島民とが自然に言葉を交わすことも珍しくない。
“旅人”と“島民”——その境界は、島で過ごす時間とともに、少しずつ溶け合っていく。旅人にとってはありのままでいられる居場所に。島民にとっては、新しい風が吹き込む出会いのきっかけとなる。それは、世界遺産の島・屋久島の風土に根付いた風景である。

観光地が“消費される場所”になりがちな今だからこそ、屋久島には、人と人とが関わり合いながら育つ“観光のかたち”が静かに芽吹いている。訪れる人も、迎える土地も、互いをより豊かにしていく。そんな循環こそが、屋久島という場所の本当の魅力なのかもしれない。

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取材・写真・文:SHU ITO / YAKUSHIMA FILM