奄美大島いきものがたり

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ガラスヒバァ

●ハブと同じ出血毒 ガラスヒバァ

 奄美大島には8種のヘビが生息していて、そのうち毒を有するのは4種である。毒の種類はハブやヒメハブなどがもつ出血毒と、ヒャンがもつ神経毒に分けられる。

 ガラスヒバァは全長が1㍍ほどになるナミヘビ科の仲間。奄美群島と沖縄諸島の一部の島々に分布する琉球列島の固有種である。平地や山地の沢沿い、水田などの水場周辺に生息する。ハブと同じ出血毒を保有しており、上アゴの奥にある毒腺から分泌することが知られている。これまでに人間が咬(か)まれて深刻な被害が出た話は聞いたことがないが、十分に注意が必要である。

 これから暖かくなるにつれて、夜の林道にはリュウキュウカジカガエルの出現頻度が高くなる。林道上の水が湧き出るような環境では、ガラスヒバァがリュウキュウカジカガエルを待ち構えていることもしばしば。体全体が水に浸かっていて、水面から顔だけを出していることもあり、あっと驚かされることもある。

ウジルカンダの花

●見た目と香りが独特 ウジルカンダ

 3~4月頃に開花するマメ科のウジルカンダ。別名イルカンダの方が広く知られているかもしれない。花の香りは、「臭い雑巾」と例える人がいるほどに独特で、生育地の近くを通れば、すぐにその存在に気づく。

 見た目と香りが独特なウジルカンダの花は、季節に合わせて生育場所を訪れれば、発見するのはそう難しくない。しかし、夏から秋にかけて見られる実は、奄美群島でなかなか見られない。そもそもウジルカンダは特殊な送粉様式であり、堅い2枚の花弁は自然に裂開することがない。

 ウジルカンダの生育地によって、オリイオオコウモリやニホンテン、ニホンザルなどの動物種が裂開することが知られている。この研究は私の大学時代の先輩である琉球大学理学部助教の小林峻先生らによる成果である。しかし、奄美大島のウジルカンダの送粉に関わっている動物種は、まだ知られていない。

 2022年、徳之島に生育するウジルカンダが結実した。そのときはこれまでに奄美群島で見たことのない数の実がなっていた。オオコウモリによるものではないのか?と思ったが、その証拠は見つけられなかった。                                 (奄美博物館)

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