シャインマスカット普及へ 奄美大島=栽培講習会、特性・栽培方法学ぶ

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近年、鹿児島県の奄美大島で栽培が始まった緑黄色系ブドウ「シャインマスカット」の栽培講習会(県園芸振興協議会大島支部果樹技術部会主催)が1月28日、奄美市名瀬の富田聖一さん(59)の園地であった。生産者や奄美市農業青年クラブ員、行政担当者ら約40人が参加。栽培における利点や欠点、同じつる性のパッションフルーツと比較した優位性などを紹介し、植物特性や栽培方法に理解を深めた。

奄美大島では2020年からシャインマスカットの栽培が始まった。普及活動の一環で生産者の伴走支援で得られた知見を基に、導入の留意点や栽培指針を示し、関係者間の情報共有を図るため講習会を開催。同支部事務局の県大島支庁農政普及課の松尾至身(てつみ)さんが講師を務めた。

奄美大島では瀬戸内町古志の池島修さん(68)が23年から2年連続で収穫しており、連年収穫が可能。糖度は18度以上を確保し、他地域の無加温栽培より早い作型で7月中旬から収穫できることから、松尾さんは「コストをかけなくてもこの時期に収穫できるのは、奄美の大きな武器」と強調した。

シャインマスカットを導入する利点として、▽ビニールハウスの気密性は必要ない▽年間の労働力の少なさ▽観光農園としての可能性―を列挙。パッションフルーツと比較した場合、①毎年新植する必要がない②かんきつとの複合経営を行う場合、労力分散になる③施設が老朽化していても、生産性のリスクが小さい―などの優位性を示し、「定植して1年半で収穫できるのが強み。栽培技術も確立しており、決まったことを実践すればいい」と説明した。

栽培における重要事項として、成長の早さに備えて枝を支える棚の早期整備、果実内の種子を除去する処理や枝管理など適期作業の徹底などを紹介。樹体管理の実演解説もあり、商品性・収益性の高い栽培方法をアドバイスした。

講習会に参加した奄美市農業研修生の川上正人さん(54)は「シャインマスカットはパッションフルーツと比べて労力が少なく、複合経営で取り組みやすい品目と思った。研修終了後に栽培に着手できるよう、準備を進めたい」と述べた。

 

シャインマスカットの特性や栽培方法などを学んだ講習会=1月28日、奄美市名瀬

 

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