鹿児島県奄美大島の特定外来生物フイリマングースの根絶を受け、環境省沖縄奄美自然環境事務所(北橋義明所長)はこのほど、再侵入と定着防止に向けた新たな計画を策定した。侵入監視と発見時の初動体制、マングース探索犬の能力維持とともに、シロアゴガエルなど他の外来生物にも警戒を強める。長年マングース防除事業に携わってきた阿部愼太郎国立公園保護管理企画官(60)は「島の生態系を守るために住民の協力が欠かせない。自然への関心を高め、共に監視してもらいたい」と呼び掛けた。
特定外来生物マングースはネズミやハブ対策として1910年に沖縄県に導入された。奄美大島では79年ごろに奄美市名瀬で放されたとされ、その後全島に分布域を広げて希少種を含む在来生物の減少を招いた。自治体による駆除が93年に始まり、2000年からは環境庁(当時)が本格的な捕獲事業を開始。今年9月に島内での根絶が宣言された。93年からのマングースの捕獲総数は約3万2千匹。
新たな「奄美大島におけるマングース侵入・定着防止計画」では、沖縄本島からの再侵入と定着を警戒。▽注意喚起と目撃情報の収集▽自動撮影カメラによるモニタリング▽情報精査と対応の決断▽専門家会議の収集―などを定めた。
対策実施のための備えとして、過去に使用した捕殺用わなの保管やマングース探索犬の訓練、関係機関との連携も維持する。また、与論島と徳之島への定着が確認されている特定外来生物シロアゴガエルの侵入防止対策として、探索犬を活用する案も検討課題として盛り込んだ。計画期間は24年11月15日から29年10月31日まで。
環境省奄美群島国立公園管理事務所は「マングースもシロアゴガエルも奄美大島にいつ入ってきてもおかしくない。早期発見、早期対応が重要」として、住民へ広く目撃情報を募っている。