ボスニア、韓国、日本の大学生ら17人が参加した「徳之島国際ユースキャンプ」との交流が7日、鹿児島県伊仙町の犬田布小学校であった。島内の小中学生ら約50人が参加。戦争の記憶継承をテーマに学生らが発表したほか、子どもたちは折り紙やけん玉など日本の遊びを紹介するなど、英語での交流を楽しんだ。
同キャンプは日本と海外の若者の相互理解などを目的に東京大学先端科学技術研究センター・創発戦略研究オープンラボ(ROLES)が主催。外務省の「外交・安全保障調査研究事業費補助金」を活用して2023年度から実施しており、徳之島への来島は今年2月に続いて2回目となった。
今回来島したのは東京大、慶応大、韓国・荏原大、ボスニア・サラエボ大、モスタル大、パニャルカ大の学生ら。徳之島の研修では▽戦没者慰霊の在り方▽戦争の記憶の伝え方、捉え方―などをテーマに、戦後から1953年まで米軍政下に置かれた奄美群島の歴史について学んだ。
朝鮮戦争(1950~53年)、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(92~95年)などを主題にした発表では、戦争がもたらした影響や、将来に向けてどのように語り継いでいくべきかについて意見を交わした。
パニャルカ大学生のアナスタシア・プラヴシッチさん(22)は「ボスニアは紛争で2地域に分断されたが、若い世代は一つの国として争うことなく過ごしていることを伝えた」と自身の発表について説明し、「学校で徳之島の子どもたちとご飯を食べたり遊んだりできて楽しかった」とほほ笑んだ。
学生たちの引率を務めた同センター特任研究員の立田由紀恵さん(52)は「ボスニアでは3民族の溝がいまだに残っており、この研修に不安もあったが、各民族の学生同士は仲良く交流していた」と振り返り、「ボスニアに関わってきた人間として一つの達成感がある。この交流を次につなげていきたい」と述べた。
学生らは2日に来島。8日まで6泊7日の日程で研修を実施した。