鹿児島県沖永良部島・和泊町立国頭小学校(伊口裕喜校長)は10日、校区内の海岸でかつて行われていた塩作り「汐(しお)干し」の体験学習を行った。6年生12人が参加。強い日差しで温まった岩肌に海水を掛け、塩分濃度の高い塩水を作る作業に挑戦し、先人の苦労を味わった。
同校で長年続けている学習活動で、8日には事前学習として汐干しの歴史などを学ぶ講話もあった。講師を務めた同集落の先田光演さん(82)の話や「国頭字誌」(同編纂(さん)委員会編)などによると、国頭集落は潮風害が発生しやすく稲作には不向きだったため、女性たちは塩を作り、島内の米どころまで30~40キロ歩いて行き、米と交換していた。汐干しは戦後数年は行われていたという。
この日は保護者も協力。バケツリレーで海水を海から岩場の潮だまり(フンムイ)まで運ぶと、児童たちが交代で海水をバケツですくい、何度も岩にたたきつけた。
体験した伊村優羽心さん(11)は「昔の人はこの作業を毎日していたんだと思うとすごい」と感想を話した。
先田さんは「昔は自給自足の生活。お母さんたちはみんなのために一生懸命働いた。一日中腰を曲げて作業しているから、体がだるいと思うときもある。それでも『私がだるいと言っていたら、自分の家は成り立っていかない』と頑張っていた」などと当時の苦労を伝えた。
衛生上の観点から、この日の体験で出来上がった高濃度の塩水ではなく、海水を容器に入れて持ち帰った。後日、その海水を煮詰めて塩を作る塩炊き体験も行う予定。