鹿児島県の奄美市立奄美博物館の平城達哉さん(34)らが徳之島で2020~24年に行ったオリイジネズミの観察・調査でこのほど、今まで知られていなかった生態の一部が明かになった。研究成果は1月、日本哺乳類学会の学会誌・哺乳類科学に掲載された。平城さんによると、野外で活動するオリイジネズミを写真に収めるなどして学術的に同定したのは初めて。平城さんは「今回明らかになった生態は、今後の保護対策に活用できる」と期待する。
オリイジネズミは奄美大島、加計呂麻島、徳之島で生息が確認されている固有種。環境省のレッドリスト2020で絶滅危惧IB類に選定されており、これまでに野外で観察された記録の報告はなかった。環境省奄美野生生物保護センターのホームページでは「幻の珍獣」と紹介されており、生態については謎に包まれていた。
平城さんは24年4月に徳之島で行った調査でオリイジネズミを偶然発見。その後、聞き取り調査や文献調査、標本調査を行い、野外での観察記録3例と生息記録18例(標本14点、標本がない記録4例)を集めた。このうち2点の標本は平城さんが調査を進める過程で新たに発見した。
野外での観察記録からは▽昼夜問わず活動する▽生息環境には落ち葉が重要である可能性がある▽鳴き声を発する│などの生態が明らかになった。さらに全21例の記録を整理、分析した結果▽秋から春ごろにかけて活発に活動する▽山地を中心に平地から山地の多様な環境に生息する│といった傾向があると考察した。
今後の研究について「今回分かったことを基に調査することで、奄美大島や加計呂麻島でのさらなる研究につなげたい」と平城さん。「小型で認知度が低いオリイジネズミも路上に出現するため、ロードキルの注意喚起と、ジネズミ類を発見した場合は関係機関に報告するように周知を図っていきたい」と話した。
平城さんらの論文はJ-Stage(科学技術情報発信・流通総合システム)の電子版で無料公開されている。

徳之島の野外で観察されたオリイジネズミ(平城達哉さん提供)

