宙舞うそうめん「ソーミンガブー」 喜界町中里で集落遊び

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 鹿児島県喜界町中里に伝わる伝統行事「ソーミンガブー」が21日夜、同集落の旧公民館前で行われた。ソーミンは島の方言でそうめん。集落に伝わるシマ(集落)遊びの一つで、やぐらの上から投げられる袋入りのそうめんを老若男女が奪い合う。島内の各集落から人が集まり、約20分間のそうめん争奪戦が繰り広げられた。

 中里では旧暦9月の「壬(みずのえ)の戌(いぬ)の日」に先祖を祭る「ウヤンコー(高祖祭)」があり、その2日後にシマ遊びを行う。日中は八月踊りや相撲で豊作と無病息災を祈願。最後を飾る行事がソーミンガブーで、手に入れたそうめんはその夜のうちに食べると健康に恵まれるとされる。この夜は「無礼講」で、そうめんは他者から奪い取ってもいいという独特の風習も残る。

 午後7時、「取れソーメン!」「ガブー!」の掛け声とともに、やぐらの上からそうめんが投げられた。今年は町の補助を受け、例年を上回る1500袋が準備された。集まった人々は六調に合わせた手踊りや大声でアピール。宙を舞うそうめんめがけ、人が群がった。

 荒木集落から参加した久保心春さん(7)は「取れた、踊った、楽しかった」と満面の笑み。中里集落の加治佐虎南さん(15)は「周囲を見極め、しっかり取ることが重要だ」と話し、終了後も同級生と競り合いを続けていた。

 行事を支える同集落の青壮年グループ「中里まりろう会」の野間弘也会長(43)は「幼い頃に感じた祭りの夜の光景は、自分と故郷とのつながりを育んだと感じている。伝統を義務として継承するのではなく、僕たち自身が楽しみ、価値を感じるものにしたい」と語った。秋田達麿区長(66)も「各世代間のつながりを大切に、行事や文化をシマの遺伝子として残していきたい」と話した。

【写真】老若男女がそうめんを奪い合った中里集落の「ソーミンガブー」=21日、喜界町中里

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