鹿児島県奄美市笠利町の宇宿漁港の堤防にこのほど、地元の小学6年生54人が手掛けた壁画が登場した。同市が来年3月に市制施行20年を迎えることを記念し、7校の児童が校区を越えて協力。交流を広げながら、さまざまな生き物でにぎわう奄美の自然の風景を描いた。
壁画は「市制施行20周年記念事業」の一環。未来の奄美市へのメッセージを込めた子どもたちの絵を通し、笠利地区全体で節目の年を祝う機運を高めるとともに、奄美大島の空の玄関口にも近い宇宿漁港のにぎわいづくりにつなげようと保護者らが企画。奄美市が堤防の管理者である県に許可を得て実現した。
壁画は高さ約3メートル、幅約100メートル。アダンの茂る白い砂浜に、ルリカケスやアカショウビンなどの野鳥、毎冬に奄美近海を回遊するザトウクジラ、色鮮やかなサンゴと熱帯魚、八月踊りの輪、満天の星空、ハブやアマミノクロウサギなど、児童たちが考える奄美の自然と暮らしの魅力が詰め込まれた。
児童と保護者らは、今年6月ごろから堤防の汚れ落としや下地の白ペンキ塗りなどの準備を進め、絵の仕上げの最後には全員の手形を押して完成させた。参加した笠利小6年の児童は「学校で6年生は1人だけなので、他の学校の子と触れ合えていい経験になった。大人になっても壁画を見てこのことを思い出したい」と笑顔。
企画者の一人、石川香夏さん(38)は「私が子どもの頃は宇宿小の児童が毎年絵を描いていたが、最近は更新されず色あせてしまっていた。新しい壁画制作を通して子どもはもちろん、保護者同士のきずなも深まった」と話した。

堤防に壁画を描いた笠利地区の6年生と保護者ら=7日、奄美市笠利町の宇宿漁港

