廃校を活用した農泊推進型施設「あらとんとんの館」がこのほど、鹿児島県大島郡瀬戸内町久慈(くじ))集落に完成し、現地で10月31日に竣工披露会が開かれた。行政や施工業者、西方地区の住民ら約90人が出席。宿泊、食事、買い物などさまざまな機能を持つ拠点の完成を祝い、今後の活用と交流人口の拡大を期待した。施設は11月3日に運用を開始する。
同施設は、旧久慈小中学校敷地内に整備。町が農山漁村振興交付金を活用して、鉄筋コンクリート造り1階建ての旧校舎(258平方メートル)を改装し、木造平屋建て(124平方メートル)を新築した。総工費は1億5341万9千円。
「あらとんとん」は久慈の方言で「クラゲ」の意味。改装した旧校舎は客室4部屋の宿泊施設「あらとんとんの宿」として利用。新築の別棟は「食事処とうぐら」(食堂)と売店「西方商店」を併設し、地域住民向けの商品のほか、地場産品などの販売も手掛ける。
竣工披露会には県から松藤啓介大島支庁長、上拾石斉宏瀬戸内事務所長などが来賓で訪れ、鎌田愛人町長とともにテープカットで施設の完成を祝った。前久慈集落区長の武田政文さん(81)は「140年の歴史を終えた母校が農泊施設としてよみがえった。西方地区の拠点として活用し、かつてのにぎわいを取り戻したい」と期待した。

来賓や関係者が施設完成を祝ったテープカット=10月31日、瀬戸内町久慈
施設は町から指定管理者指定を受けた一般社団法人「チーム西方」が管理、運営する。同法人の昌谷榮四郎代表(69)は「地区の活性化を目指す有志で立ち上げた法人でスタッフは約10人。地域住民と協力しながら交流人口拡大を目指す」と意欲を語った。
西方地区には西古見、管鈍、花天、久慈、古志、篠川、阿室釜の7集落があり、9月末時点の人口は7集落合計で223世帯、326人。町誌などによると、久慈小中学校は1874年に郷校として設立。1957年に小中併設になった。児童生徒数の減少で2016年4月から休校に、21年4月に廃校となった。
同施設での宿泊は1人1泊(朝食付き)8千円から。食堂は昼(午前11時~午後3時)、夜(午後5~同7時半)の営業で水曜、木曜は休み。売店は不定休で午前7時半から午後8時まで営業する。施設についての問い合わせは電話0997(76)3374同宿へ。

改築で宿泊施設としてよみがえった旧校舎(瀬戸内町役場提供)

