2025年度県戦没者追悼式が21日、鹿児島市の県総合体育センター体育館であった。塩田康一知事ら約700人が参列。戊辰戦争から太平洋戦争までの間に犠牲となった県出身の戦没者・一般戦災死没者約8万5400人の冥福を祈り献花し、戦後80年の節目に恒久平和を願い、不戦の誓いを新たにした。
追悼式は県主催で、今年で61回目。遺族のほか県や市町村の代表らが参列。塩田知事は式辞で「戦後80年の歳月を経ても多くの尊い命が失われた深い悲しみは尽きない。国民の約9割が戦後生まれとなり、戦争の記憶の風化が危惧されている。戦没者が命を賭して後世に残した戦争の悲惨さと平和の尊さを、あすを生きる世代に継承し、世界平和の実現に向け努力を続けていく」などと述べた。
県町村会会長を務める高岡秀規徳之島町長らの追悼の言葉に続いて遺族代表の池上勝義さん(86)=曽於市=は空襲の中、家族と一緒に逃げ惑った6歳当時の記憶などを語り「あの時の恐怖は今でも忘れない。父は赤紙(召集令状)一枚で戦争に行き戦死した。戦争はこの世の地獄。日本は世界でも類を見ない復興を果たし、平和国家に生まれ変わった。これも戦没者の尊い犠牲の上に築かれたことを忘れてはいけない」などと話した。

県戦没者追悼式。献花を行い恒久平和を誓った参列者=21日、鹿児島市

