野生生物の目撃情報を基に車両運転時の注意を促す地図作りが19日、鹿児島県奄美市住用町の奄美大島世界遺産センターで始まった。国の特別天然記念物アマミノクロウサギの活動が活発になる秋期に、環境省が毎年実施する事故防止キャンペーンの一環。来館者参加型の企画で、島民と観光客が協力して生き物に優しい運転を呼び掛けていく。
アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島のみに生息し、夜行性で見通しのいい道路上などで餌を食べたり、ふんをしたりする習性がある。近年は生息数や生息域の回復に伴い、交通事故の増加が問題となっている。
地図作りは「みんなで作ろう!知って知らせて減らすロードキル注意マップ」と題して、奄美大島内で見かけた生き物(アマミノクロウサギ、ケナガネズミ、アマミヤマシギ、カエル、カニ)のシールを、地図上の目撃した場所に貼っていく。
同センターの森山和也さん(44)は「野生生物がよくいる場所やこんな場所にも出るんだ、ということを知ってもらい運転に注意していただきたい。みんなで情報共有しましょう」と話した。
環境省によると、今年8月末現在、アマミノクロウサギの交通事故は奄美大島で92件、徳之島で18件発生しており、ほとんどが死亡事故。過去25年間の記録では、繁殖活動が盛んな9~12月に事故が多いという。
キャンペーンは11月15日まで。徳之島では今月15日から徳之島世界遺産センターで「奄美のいきもの写真展」が開かれている。

「みんなで作ろう!知って知らせて減らすロードキル注意マップ」への参加を呼び掛ける奄美大島世界遺産センターの職員=19日、奄美市住用町