鹿児島県ウミガメ保護対策連絡協議会(事務局・県自然保護課)の会合が26日、オンラインで開かれた。ウミガメが上陸する海岸を有す県内自治体の担当者や研究者など約40人が参加。2024年度の実績と25年度の事業計画などを報告、ウミガメの保護に向け、連携していくことなどを確認した。24年度のウミガメ上陸数は県全体で6179回(前年度比1745回増)、産卵回数は2907回(同776増)と増加。県はイノシシなどによる捕食が各地で報告されているとし、「今後も監視体制を維持し、注視していく必要がある」としている。
ウミガメの上陸・産卵数の調査は、海岸のある県内の39市町村の委嘱を受けた監視員らが、4~9月に実施。自治体ごとに監視員数や調査日数などにばらつきがあるため、確認数と実数が同じとは限らないという。

2024年、鹿児島県大和村で開催されたウミガメ観察会の様子(資料写真)
24年度は30市町村で上陸を確認。最も多く確認されたのは屋久島町で、上陸4154回(同1451回増)、産卵1775回(同669回増)で、県全体の6割以上を占めた。
奄美群島12市町村の確認状況は上陸909回(同46回増)、産卵515回(同80回減)。市町村別では上陸が多い順に瀬戸内町251回、奄美市と与論町がともに158回、和泊町138回、龍郷町85回、徳之島町38回、知名町32回、大和村23回、伊仙町15回、喜界町8回、天城町2回、宇検村1回。産卵は瀬戸内町141回、奄美市101回、与論町82回、龍郷町36回、徳之島町25回などと続いた。
過去15年間の推移をみると、県内の上陸・産卵確認数は12年度の上陸8845回、産卵5195回が最多。県自然保護課の川瀬翼課長は「年ごとの変動が大きく、原因ははっきりとしていない。タヌキやイノシシなどによる卵の捕食の報告もあり、今後も注視していく必要がある」などと述べた。
意見交換では各自治体の担当者らがウミガメ保護の現状などを報告。関係団体の活動報告では、鹿児島大学ウミガメ研究会が、吹上浜で実施した卵の食害状況と対策について研究成果を発表。ヒトデから抽出した成分が野生動物の忌避剤として一定の効果があったことなどが報告された。