戦後80年、平和への誓い新た 徳之島・犬田布岬=戦艦大和慰霊祭、島内外から150人参列

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 太平洋戦争中、沖縄に向かう途中で撃沈された戦艦大和を旗艦とする特攻艦隊の戦没将士慰霊祭(同実行委員会主催)が8日、鹿児島県徳之島・伊仙町の犬田布岬(いぬたぶみさき)であった。戦後80年を迎え、遺族の高齢化が進む中、住民や自衛隊関係者など島内外から約150人が参列。祖国防衛のために海に散った3737柱の冥福を祈るとともに、平和への誓いを新たにした。

 慰霊祭は今年で58回目。式典では大和が沈没したとされる午後2時23分に合わせて参列者らが黙とうをささげ、神事では玉串奉納や献花で英霊たちの冥福を祈った。

 大久保明町長は各地で紛争が絶えない現在の世界情勢について「尊い命が奪われる状況が続いており、改めて恒久平和を実現することの困難さを感じている」と述べ、「英霊たちの犠牲と遺志、平和の尊さを次世代に伝えるためにも今後も地元有志で慰霊祭を継続していきたい」と慰霊の言葉を述べた。

 海上自衛隊鹿屋航空基地の大西哲第一航空群司令(58)は中国が南西諸島付近で活動を活発化していることを例に挙げ、日本を取り巻く安全保障環境について「戦後最も厳しく複雑な環境にある」と警戒。「わが国の平和と独立を守るという使命を改めて自覚し、日々の任務と訓練にまい進する」と誓いを立てた。

 戦後80年を迎え、高齢化で遺族の慰霊祭への参加は難しくなっている。今回の式典に、ただ一人県外から参加した杉浦秀延さん(65)=愛知県碧南市=は、駆逐艦「磯風」の乗組員で、101歳で亡くなった山中寛三さんの関係者として参列した。

 杉浦さんは「戦友の冥福を徳之島で祈りたいという先輩(山中さん)の願いを実現できた。きっと喜んでいるはず」と故人を思いながら、「全国で慰霊祭が縮小する中、徳之島では地区を挙げて継続している。慰霊のあるべき姿だと感じた」と述べ感謝した。

 式典には地元の西犬田布婦人会8人も参加して慰霊の舞をささげた。約20年参加している松岡郁代さん(69)は「年々参列者が減っているのを感じるが、先輩たちが頑張って続けてきた地域行事なので今後も絶やさず続けていきたい」と笑顔を見せた。

 戦艦大和は1945年4月6日、山口県徳山湾沖から沖縄へ向け出撃。翌7日に鹿児島県坊ノ岬沖で米軍の攻撃を受け、午後2時23分に沈没した。沈没地点は長らく徳之島西方沖とされてきたが、その後の調査で坊ノ岬沖であることが分かった。

慰霊塔の下で慰霊の舞をささげる西犬田布婦人会メンバー=8日、伊仙町の犬田布岬

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