奄美黒糖焼酎など九州の酒類の輸出拡大を目指し、フランスの一流ソムリエやバーテンダーらに魅力をPRするツアーが18、19の両日、鹿児島県奄美大島であった。参加者は2日間で4蔵元を視察して試飲を重ね、蔵や銘柄によって変わる個性豊かな香りと味わいを堪能。黒砂糖と米こうじから造られる世界でも珍しい蒸留酒である同焼酎の奥深い世界に酔いしれた。
経済産業省九州経済産業局など主催の視察ツアー「九州産酒類のプロモーションツアー」の一環。ワインの本場フランスで日本産酒類の普及啓発に取り組む「Kura Master(クラマスター)」協会の宮川圭一郎運営委員長ら3人と現地で活躍するトップソムリエら7人を招へいし、23日までに九州一円の19酒造を巡る。取り組みは昨年に続き2回目で、奄美での実施は初。
一行は19日、龍郷町の奄美大島酒造と奄美市名瀬の西平酒造、富田酒造場を訪問。それぞれの代表銘柄を数種類ずつ試飲し、「南国のフルーツを思わせるフレッシュな味わい」「ショウガやパプリカのようなスパイシーな余韻がある」「(奄美で飲まれているように)食中酒として油っこい料理などにも合う。ソーダ割りで飲みたい」などと感想を述べ合った。蔵巡りの合間に同市笠利町で黒糖製造の様子も見学した。
県酒造組合の田中完専務理事(64)は「実際に奄美に来て歴史や風土を体感してもらうことで、より深く黒糖焼酎の魅力を体感できる。世界的に影響力のある参加者たちに奄美の空気感とともに黒糖焼酎を広めてもらえれば」と期待を込めた。
五つ星ホテル「リッツ・パリ」のバーディレクターを務めるロメン・ド・クールシーさん(34)は「使用する黒糖や米の産地やもろみの仕込み方などで味わいが異なり、小さな島ながら黒糖焼酎のバラエティの豊かさに驚いた。つくり手の哲学が現れるところや熟成を楽しむ文化はワインにも共通していて面白い」と話していた。