奄美群島リーフチェックサミット2024(日本自然保護協会、海の再生ネットワークよろん共催)が5月12日、鹿児島県与論町(与論島)の地域福祉センターであった。群島のリーフチェック関係者が各地のサンゴ礁の調査状況や守る取り組みを報告し、さらなる保全に向けて意識を高めた。
リーフチェックは世界同一の調査方法で行われるサンゴ礁調査。サミットは各地の調査や運営方法の工夫を共有、調査員同士の交流の場をつくるとともに、担い手不足解消につなげられればと初めて開催された。島内外の関係者、地元の一般町民ら約30人が参加し、熱心に耳を傾けた。
喜界島の調査を主催している喜界島サンゴ礁科学研究所の鈴木倫太郎研究員とボランティアダイバーの2人は2018年からの調査結果を報告。440年以上生きているハマサンゴの存在などサンゴの価値の高さ、企業の協賛や団体、行政の協力を得ることで「多くの人がサンゴ礁の環境を理解、保全に参画できる」運営体制の工夫を紹介した。
大島海峡の調査については自然保護協会保護・教育部保護チームの安部真理子主任が発表。サンゴ礁の現状や調査方法、アンカーでサンゴを傷つけないためのブイ設置など地元事業者の工夫を紹介し、「守る事の第一歩は今どうなっているかを知る事。特に地域の人たちが自分たちの手で数値という客観的な指標を用いて自然の状態を把握するのが重要。原因が特定できれば対策が取れる場合がある」などと述べた。
海の再生ネットワークよろんの池田香菜事務局長は奄美でいち早く2000年から始めた与論島の調査結果を報告。海中ごみ拾いやサンゴの植え付け、赤土流出を防ぐための植樹活動など保全の取り組みも紹介した。
最後に、奄美海洋生物研究会の興克樹会長が「奄美群島のサンゴを守るため私たちにできること」と題して講話。サンゴのほか、アマミホシゾラフグ、クジラ、ウミガメなど奄美で見られる貴重な生き物の生態、保全の取り組みを紹介し、「各分野の研究者は少ないが、事業者が地域と一緒になって自主ルールを設定している。それを順守しながらデータを集積し、保全と活用を進めていくことが重要」と訴えた。
サミットの前には地元の小学生を招き、リーフチェックの手法を分かりやすく紹介するイベントもあった。
13日はサミット参加者も参加し、与論島のリーフチェックが行われた。