鹿児島県奄美市の名瀬港観光船バースに5月19日夕方、魚のイラストが描かれた水色のトラックが停車していた。福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」(公益財団法人ふくしま海洋科学館)からやってきた輸送車だ。
25トンの水槽を備え、水族館で展示する魚たちを搬送するという。この日は一本釣りで釣り上げられたキハダマグロ36匹、メバチマグロ10匹、カツオ8匹を古仁屋港で引き取り、鹿児島港へ向かう途中。観光船バースでは積み荷の水槽の水を入れ替える作業が行われていた。
トラック側面の小窓から中をのぞかせてもらうと、元気よくぐるぐると泳ぐマグロたちと目が合った。道中、静岡県の水族館などで水槽内の水を入れ替えながら、フェリーと陸路で4日間の旅となる。
アクアマリンふくしまは約800種類の生き物を展示する、東北地方最大の体験型水族館。奄美のマグロたちは、同館のテーマでもある「潮目の海」の大水槽の主役として活躍する。マグロは飼育が難しく、展示している水族館は全国でも数少ないという。同水族館には奄美で採集された熱帯魚たちも展示されている。
「福島でもマグロやカツオは水揚げされるが、奄美の漁師さんは腕が良く、魚もきれい」と語る同館の藤井健一上席技師。「無事に魚たちを運ぶので、ぜひ合いに来てください」と笑顔で話した。