先祖と共に新年を祝う沖永良部島の伝統行事「墓正月」が1月16日、島内各地であった。知名町田皆では小雨がぱらつく曇り空の下、各家の墓所で親族が一重一瓶を囲む昔ながらの風景が見られた。
時代の流れとともに簡略化が進む中、田皆や同町瀬利覚など一部の集落では墓前で宴席を設ける風習が残っている。
田皆の福留家では新型コロナウイルス禍で時間や規模を縮小したものの、親族9人が集まり、午前10時ごろから宴席を設けた。福留智喜さん(71)は「近くに住んでいても普段なかなか会えないので、それぞれの近況などを話した。墓正月は交流の場にもなっている」と話した。
この日は田皆小の児童が墓正月の様子を見学。毎年行っている郷土教育の一環で、先祖の墓がある児童は、ひととき一族の集まりに加わり、先祖や家族との語らいを楽しんでいた。