奄美大島の世界自然遺産登録1周年を記念したシンポジウム(県主催)が1月22日、宇検村湯湾の村総合体育館であり、専門家と地元住民が自然の価値や魅力を語り合った。村立阿室小中学校の児童生徒らが詩と歌を発表し、「世界に誇れる島の宝を残したい、伝えたい」と未来への継承を誓った。宝塚歌劇団OGのショーなど多彩な催しがあり、村内外から約千人が来場してイベントを楽しんだ。
県立大島高校ダンス部が妖怪「ケンムン」を題材にしたダンスでオープニングを飾った。塩田康一知事、元山公知村長のあいさつに続いて、宝塚歌劇団OGの鳴海じゅんさん、綺華れいさんが華麗な歌と踊りで会場を魅了した。
元東京大学医科学研究所准教授の服部正策さんが基調講演し、同村と大和村に連なる奄美最高峰・湯湾岳で見られる希少な動植物を紹介し、「世界でここにしかいない生き物が多い」と強調した。
服部さんと地元住民が奄美の魅力などを語り合うトークセッションがあり、大和村出身で環境省奄美野生生物保護センター自然保護官補佐の白石大晴さんは「自然と人の暮らしが近くにあるのが魅力。未来にこのまま残していきたい」と話した。
龍郷町のエコツアーガイド中田留弘さんは「奄美の良さを守りながら伝える若いガイドを育てていきたい」、米国出身の奄美市国際交流員クレーグ・レベッカ・ローズジーンさんは「奄美の魅力を多くの人に広げたい」と抱負を述べた。
阿室小中学校教諭の岩切敏彦さんは、湯湾岳を学校の遠足などに活用することを提案。奄美の固有種やマングースバスターズの活動を取り上げた教科書や教材があることを紹介し、「素晴らしいところに住んでいることを誇りに、みんなが大切にしていこうと思うことが大事だ」と呼び掛けた。
村主催の関連イベントもあり、来場者らは昭和歌謡のステージやのど自慢大会で盛り上がり、夜空を彩る大輪の花火を楽しんだ。