【episode9】もう一度島に戻りたい”ご主人の夢を叶え飛び込んだ島暮らし(後編)

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プロローグ

いよいよ奄美大島での生活がスタートした田口さんご夫妻。

夫婦で始めたうどん店の開業、台風、島のコミュニティ…移り住んでからは、目まぐるしい変化と共に驚きの連続だったという。しかし、2人の表情はカラッと明るく楽しそうだ。夢に見た奄美大島での移住生活は理想通りなのか?

島で生きていく覚悟を決めた2人が目指す“これから”の話を聞いた。

インタビュー:満崎千鶴 撮影:高比良 有城 取材日2018年11月

新天地でのチャレンジ

「たぐちうどん店」があるのは奄美空港から車で約20分の町、龍郷町。ちょうど奄美空港と奄美市の中間地点となる町だ。

龍郷町は太平洋と東シナ海、共に車で10分ほどの位置にあり波乗りを楽しむ人たちにとってはもってこいの好立地。趣味も仕事も楽しめるこの場所に、2人はとてもワクワクしたという。

しかし、東京に暮らしながら、遠く離れた奄美大島の土地探しやお店兼住宅の建築など、実際に生活を始めるまでは大変なことの連続だった。

2年かけて土地探しをしたけれど、店舗と住宅兼用の建物を考えていたので自分たちなりの細かい条件もあり、なかなかいい土地に出会えなくて苦労しました。ある日偶然通りかかって見つけたのが今お店のあるこの土地です。以前私が暮らしていたのが近くの集落だったこともあり、仲間や知り合いも近くにいたし、商売をするにはちょうどいい場所!ココしかない!と5分で決めました(笑)」と拠点が決まるまでのエピソードをご主人が話してくれた。

ご夫婦が営む「たぐちうどん店」は好評で、訪れた日も沢山のお客さんで賑わっていた。

沢山のお客さまが来店し、厨房の中はいつも大忙し。

出汁は鰹節だけを使用し、国産の食材だけを使用するというこだわりよう。

“島を盛り上げたい、島に貢献したい”という気持ちが強く、すべて奄美の食材を使ったうどん作りをしたかったというご主人だが、うどんのベースとなる小麦粉の生産量も限られる上に、頻繁に台風が訪れる島では安定した供給が困難だった。

「理想通りには行かなかったけれど、わざわざ足を運んでくれるお客さまに、“素材がないから休みます…”という事はしたくなかったので、安定して提供できる国産の素材を使用し提供しています。」と奥様の裕子さん。

 

コシのあるうどんは癖になる美味さ。

訪れるお客さまの8割は島にお住まいの方だというが、最近では観光客の来店も増え客足は伸びる一方。

「これまでがむしゃらに頑張ってきたけれど、お客さまが来なかったらどうしよう…と不安になることもまだあります。」と話すご主人に、

「え!そうなんだ!?不安なの!?不安なくらいがちょうどいいよ(笑)」と笑って返す奥様。

慎重派のご主人と楽観的な奥様の掛け合いが微笑ましく、バランスの取れた夫婦関係に、思わずこちらも笑顔が漏れる。

笑顔の絶えない奥様はお店のムードメーカー

「私はうどんを作る技術者ではないけれど、主人が愛情込めて作りました!と直接お客さまにお届けできる仕事にとてもやりがいを感じています。お皿を下げるとき、丼が空っぽになっていたら何より嬉しい!」とご主人を支え、お店の看板となる奥様のやりがいを聞かせてくれた。

島は驚きの連続

今ではすっかり島の生活にも慣れ、充実した毎日を送っているように見えるが、移住当初、東京と奄美大島の生活の違いに驚いたことは無かったのだろうか?

「奄美大島にきて驚いたこと?いっぱいあります!(笑)まずは、スーパーに赤・青・黄色と色鮮やかな魚を売っていること!東京ではカットされた魚がパックに入って売っているのが当たり前だけれど、島はショーケースの中に魚や貝がそのまま並んでいてとても驚きました。そして、朝の集落放送が早い!毎日朝・夕650分には集落放送が流れてきます(笑)もちろん東京では地域へ向けたお知らせの放送なんて聞いたことはありません。台風が来ていますとか、敬老会のハンドベルの練習がありますとか(笑)。みんなこれを聞いて1日がスタートしているのだな〜と驚きました。まだありますよ!祭りが多い!運動会や駅伝大会など大人が頑張るイベントが多くて不思議でした(笑)

島の人たちは台風もお祭りの一つですね。台風が来れば堂々と仕事を休めるので “台風だからしょうがない!誰の家に集合ね!”と言って飲み会が始まります。

「台風祭りだね!ってみんなで楽しんでいます。」と笑う奥様。

島の人はゆっくり生活しているイメージを持ち、休みの日は2人で釣りをしたり波乗りをしたりとのんびり過ごすものだと思っていたという田口ご夫妻だが、この1・2年はとにかく忙しい毎日だったという。これまでの生活を振り返り、「意外と“島時間”っていうのはないんですね〜」と話す奥様の一言がとても印象的だった。

理想と現実、そして上手な島暮らしのヒント

『移住』は理想通りにいかないことも多く断念する人が多い中、この先も島に暮らし骨を埋める覚悟だという田口ご夫妻は、島で上手に暮らすためのヒントをこう語る。

「東京は隣に暮らす人もどんな人か分からないけれど、島となればそうはいかない。島では寄り合い(飲み会)の頻度も多いし最初は知らない人ばかりで戸惑うこともあるけれど、分からないことを尋ねればお節介なくらい手取り足とり親切に教えてくれます。自ら輪の中に飛び込んで行くことが出来なければ寂しい思いをすることがあるかもしれませんが、入っていくことさえ出来れば大丈夫!きっとうまくいきます!今からお墓をどうしょう…と考えています。」

2人が目指すこれから

夕方の営業が終わると、すぐさま2人が向かうのはもちろん海。

2人のお気に入りの海。お店から車で約10分

潮の満ち引きや天気予報をチェックするのも毎日の大切な日課となっている。

これは決して東京では叶わなかった夢のような生活であることは間違いない。

手際よく準備を整えて早速海へ。

楽しそうに波乗りを楽しむ奥様

波を見て、行ける時は毎日海に向かうという2人がこれから目指す理想の暮らしを聞いてみた。

2人とも奄美大島の海がとても好きなので、波乗りはもちろん、潜ったり貝を採ったり魚を釣ったり、マリンスポーツ全部をもっと楽しみたい。島を巡って集落を見て回ったり、島の歴史も知りたいし料理も覚えたい。まだ知らない奄美大島の魅力がきっと沢山あるはずだから。仕事も遊びも全力で!死ぬまでに奄美大島を全部楽しめるか不安です(笑)」と話す満面の笑みは、2人の生活が充実した日々であることを物語っている。

 

田口さんの鹿児島暮らしメモ

かごしま暮らし歴は?

2年目です。

U•I•Jターンした年齢は?

38歳です。

U•I•Jターンの決め手は?

奥様:もう一度奄美に暮らしたいというご主人の夢

ご主人:波乗りを楽しみながら自分にしかできない技術系の仕事がしたい

暮らしている地域の好きなところ

奥様:空港と奄美市のちょうど中間地点にあり、ド田舎でもなく都会でもない。生活するのに何も困らず不満もないところが好きです。

ご主人:自然が好きです。

かごしま暮らしを考える同世代へひとこと!

集落の人たちと頑張ってお付き合いしないと…とか、ああしなきゃ、こうしなきゃ!と思うと苦しくなるので、あまり構えず楽しむことが島暮らしの一番のコツだと思います。肩の力を抜いて生活するのがベスト!

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