公共ライドシェア始まる 民間事業廃止で町が巡回バス 喜界島

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 鹿児島県喜界町で21日、町主体の「自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)」による島内巡回バスの運行が始まった。長年路線バスを運行してきた奄美航空(本社・奄美市名瀬)の同島内バス事業廃止を受け、町が車両や営業所を引き継ぐ形で交通網を維持した。初日は従来のダイヤ通り運行されたが、22日以降は1日4便を減便する。運転士不足の影響とみられる。

 島内の路線バス「喜界バス」を巡っては、奄美航空が利用者減や運転士確保の困難を理由に、10月20日に事業廃止を町へ通達。今月20日で同事業を終了した。これを受け、官民で構成する町地域公共交通活性化協議会(会長・隈崎悦男町長)は今月2日、来春までの暫定的な代替手段として公共ライドシェアの導入を決定した。

 初日の21日は従来のダイヤと路線、運賃で運行したが、町は19日、22日以降は1日12便から4便を減便する方針を発表した。減便対象は、湾営業所を始発とする北中央線の午後1時半発と午後6時発、南中央線の午前10時半発と午後4時50分発。

 21日、利用客からは理解を示す声が多く聞かれた。週3回利用するという男性(71)は「運行継続に安心した。減便はやむを得ない」、毎日利用するという80代女性は「買い物や病院、人と会うなどの用事で、バスは欠かせない。運行に感謝している」と話した。89歳の女性は「病院への往復ができればよいのでは。ただ最終便が早まると、午後の通院帰りにタクシーを使わざるを得ず、やり繰りが難しい」と口にした。

 運転士の城山輝一さん(63)は「ライドシェアになっても安全運転第一は変わらない。減便は厳しいが、運休より継続することが重要。島の足を守りたい」と語った。

 町によると、19日現在の運転士は、主要ドライバー3人と、必要な講習を修了した補佐役のドライバー6人の計9人。今後もドライバーの募集を継続し、安定運行を目指す。また同協議会はライドシェアでの運用は一時的なものとして、来年4月からバス事業を運営する団体を募集する方針。

■メモ 公共ライドシェア
 バスやタクシー事業のサービス提供が困難であったり、交通空白地・時間帯があったりする場合に、自治体やNPO法人が主体となり、自家用車で乗客を有償運送できる国の制度。1種免許でも規定の講習を受けることで、乗客を乗せて運転できる。国は交通空白地帯の解消を目指し、支援を強化している。

【写真】公共ライドシェアでの運行が始まった喜界町の巡回バス=21日、喜界町

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