鹿児島県沖永良部島の和泊町歴史民俗資料館の敷地内に保存されている「高倉」のかやぶき屋根のふき替えが行われている。全面ふき替えは2018年に復元されて以来7年ぶり。根折高倉保存会(山下幸秀会長)が作業を請け負い、30日にススキやカヤをらせん状に組み上げるふき替え作業が始まった。2、3日後には作業を終える予定。
高倉は奄美の伝統的な穀物保管庫。同資料館の高倉は大正時代、瀬戸内町の加計呂麻島・諸鈍集落から和泊町古里に移築された後、南洲神社境内を経て1978年に現在地に移築された。2012年の台風で倒壊したが、18年に高倉の柱9本のうち4本を再利用して復元。再利用した4本は約200年以上前の材木と考えられている。20年にも台風で屋根の一部が損傷し、修復を行った。
同保存会によると、20日ほど前、カヤを4トントラック5~6台分、ススキを同1台分刈って乾燥させていた。町内のカヤだけでは足りず、知名町からも集めたという。26日に古いカヤを取り払い、29日に竹を張ってカヤやススキを載せる下地を作った。
山下会長(74)は「思ったより屋根の本体は傷んでいない。若いメンバーに技術を教えながら作業を進め、後継者育成にも取り組んでいる」と話した。
同館ではかやぶき屋根のふき替え技術を映像記録として残し、後世につなげるため、作業の工程を撮影している。

7年ぶりに全面ふき替えを行っている和泊町歴史民俗資料館の高倉=11月30日、和泊町

