「奄美大島の家」が知事賞 かごしま木造住宅コン 伝統体現し環境に配慮

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 鹿児島県木造住宅推進協議会主催の「かごしま木造住宅コンテスト2025」の審査結果がこのほど発表され、奄美市名瀬の「奄美大島の家」が最高賞の知事賞に輝いた。酒井建築事務所が設計し、川口建設が施工、棟梁(とうりょう)は田中真さん(47)が務めた。奄美の伝統を体現した造りや、太陽光発電や蓄電により電気を引かない暮らしを実現した環境への配慮などが評価された。

表彰式に出席した(左から)川口和範さん、酒井一徳さん、田中真さん=10月4日、鹿児島市(提供写真)

 同賞は鹿児島の自然や歴史、風土、文化に根差した木造住宅の振興を目的に2001年にスタート。2年ごとの開催で、今回は13回目。13点の応募があり、1次の書類審査後、2次の現地審査を経て知事賞、会長賞、特別賞各1点、入選5点が決まった。

 応募作品は①かごしま材のよさが実感できる②省エネや長寿命化などの工夫を凝らしている③高齢者などが安心して暮らせる④街並みなどの景観に配慮している―を基準に審査された。

 「奄美大島の家」は酒井建築事務所取締役の酒井一徳さんの自邸。審査講評によると、正面にサンゴの石垣をヒンプン(沖縄の伝統的な石塀)として設け、平面を入母屋造りの大屋根で覆った住宅。間仕切りのない板床空間や和室は100人近くが集え、〝結いの文化〟に応じた伝統的な住まいで、風通しがよく、太陽光発電や蓄電の工夫など環境に配慮されている。

「かごしま木造住宅コンテスト2025」で最高賞の知事賞を受賞した「奄美大島の家」(酒井建築事務所提供)

 酒井さんは温暖化や災害の増加、地方自治体の消滅などの課題に対し、インフラに依存しない持続可能な暮らしのモデルケースをつくりたいと考え、以前から構想していた電気を引かない暮らしを、自邸を建てるタイミングで実現した。

 設計で意識していることは「各家庭の暮らし方に寄り添うこと」。コンテストへは自身の技術を高めるため13年から出場しており、酒井さんは「施工者や棟梁も一緒に知事賞で表彰されたことが特にうれしい。このタッグでないと受賞は成し得なかった」と喜んだ。

 川口建設代表取締役社長の川口和範さん(62)は「難しい施工ではあったが、この工事に携わることができうれしかった」、棟梁の田中さんは「仕事をして賞までいただき光栄」と話した。

同コンテストの会長賞は、龍郷町の「W邸」が受賞。設計は小野良輔建築設計事務所、施工は政建設、棟梁は山田一幸さんが務めた。

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