旧暦8月15日の十五夜を前にした5日、鹿児島県奄美大島・大和村の6集落で豊年祭が行われた。大和浜集落(中井良二区長、150世帯253人)では相撲や集落伝統の「棒踊り」「ナギナタ踊り」が披露され、地域住民や出身者が一緒になって家内安全と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。
昨年は台風の影響で神事のみ行ったため、2年ぶりの開催。大和浜では敬老会も併せて開いており、婦人会が手料理で敬老者をもてなしたほか、新生児の土俵入りや集落対抗の相撲、子どもたちのダンスなどで盛り上がった。
伝統のナギナタ踊りは、昭和初期に始まったとされる女性たちの剣舞。桃色の着物に白いたすき、鉢巻き姿の娘役が父の敵討ちをテーマに立ち回りを演じた。
続いて披露された棒踊りは1902(明治35)年ごろ、大和浜の井原甚四郎翁によって創(つく)られたとされる。戦後途絶えたが63年に復活し、現在は中学生を中心に伝承されている。
この日は12人の青年が長老たちの歌に合わせて土俵前に入場。勇ましい掛け声とともに棒や鎌を前後左右に振りかざし、激しい打ち合いを繰り広げて会場を沸かせた。
けがをした兄に代わり急きょ、棒踊りに出演した大和小学校の児童は「来年出る予定で練習はしていた。(大人の動く速さに)追いつけなくなりそうだったけど、何とかカバーできた。棒踊りを残していけるように来年も頑張りたい」と話した。

勇壮な棒踊りを披露する青年たち=5日、大和浜公民館