鹿児島県大島郡瀬戸内町の阿木名集落(岩井義照区長)で4日、豊年祭があった。五穀豊穣(ほうじょう)や地域の繁栄を願って集落民、出身者らによる相撲の取組や踊りなど多彩な演目が繰り広げられた。豊年祭の目玉の一つである新生児の初土俵では、西岡典広さん(64)が64年前の初土俵の際に身に着けた化粧まわしを締め、孫の山下大遥(たいよう)ちゃん(0)と念願の土俵入りを果たし「感無量」と喜んだ。
西岡さんは、阿木名出身、在住。3人の娘がおり、長女の子ども2人も女の子。昨年10月、次女の山下穂奈美さん(31)に初めての男の子が生まれ、孫との土俵入りが実現した。
大遥ちゃんを腕に抱き、笑顔を見せながら力強く土俵入りした西岡さん。この日着用した化粧まわしには、自身の名前とともに大きく「横綱」の文字が。64年前に両親が準備したもので、大切に取っておいた。「自分の土俵入りは記憶にないが、(大遥ちゃんには)明るく、みんなに優しい人に成長してくれたら何もいらない」と目を細めた。
名前入りの大遥ちゃんの化粧まわしは、13年前に亡くなった曾祖母の益山カヨさんが織った本場奄美大島紬を使用したという。穂奈美さんは「互いに思いのこもった化粧まわしで土俵入りした父と息子の姿に感動した。息子には健康で、すくすくと育ってほしい」と願った。

孫の山下大遥ちゃん(左)と念願の 初土俵入りを果たした西岡典広さん=4日、瀬戸内町阿木名

