鹿児島県徳之島・伊仙町出身で、太平洋戦争中に教員から陸軍に入り、特攻隊員となって戦死した故樺島資彦さんの遺書などを展示した「樺島資彦さんが残したもの」企画展(伊仙町教育委員会主催、靖国神社、池田恵理さん協力)が13日、伊仙町阿権の前里屋敷で始まった。初日は島内外から30人以上が訪れ、樺島さんが特攻隊員として生きた激動の時代に思いをはせていた。
樺島さんは1920年、伊仙村(現伊仙町)伊仙に生まれ、22歳で亀津国民学校の教員となり、その年に陸軍に入隊。特攻隊員になった後、終戦3カ月前の45年5月に25歳の若さで戦死した。
会場には太平洋戦争に至るまでの社会情勢を解説したパネル12枚の他、樺島さんが教諭時代に手書きした学級経営案、家族への便り、親友宛ての「絶筆の礼状」(はがき)などを展示。パネル解説によると、まだ「特別攻撃」が行われていなかった44年6月、樺島さんは兄に宛てた手紙に「百年後の日本を考えた時、喜んで飛び込みます」と書いていたことが紹介されている。
来場した同町伊仙の女性(73)は「遺書から人生観のすごさが伝わる。『未来の子どもたちのために』と死を決意していたのを知り、感動した。徳之島の戦争の歴史も含めて、私たちみんなが知っていかないといけない」と話した。
企画展は15日まで。15日午前10時からは同所で展示企画に携わった関係者によるトークイベントも開かれる。

企画展に展示された樺島さんの遺品に見入る来場者=13日、伊仙町阿権