ロードキル対策、センサー導入 徳之島町=クロウサギ検知、実証実験へ

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 鹿児島県徳之島町は国の特別天然記念物アマミノクロウサギの交通事故死(ロードキル)対策として、自動運転車両用に開発されてきた対物検知センサーをクロウサギの検知に活用する実証実験を行う。2025年度の一般会計補正予算に事業費を計上。年内に町内2カ所の県道へ設置を計画している。

 無人運転を可能にするために対人、対車両事故防止用に開発されてきた各種センサーを、車ではなく道路に設置し、車や動物の検知に利用するもの。同町では、クロウサギを検知すると車の速度に制限をかけられる仕組みの構築を目指す。

 町によると使われるのは電磁波の一つであるミリ波を使った「ミリ波レーダー式センサー」と、それより波長の短い近赤外線を使った「LiDAR式センサー」の2種類。実験は段階的に行われる予定で、まずはミリ波レーダーを使い、車の速度に制限をかけることから始めるという。

 具体的には、ミリ波レーダーを道路脇に設置。レーダーは最大200メートル先の車まで速度を検知することができ、検知すると設定速度ごとに色別のライトを点滅させる。運転手が色を視認することでロードキルのリスクに気付き、速度を制限させることを目標とする。

道路脇に設置されたミリ波レーダーのライトが、色で車に速度を知らせるイメージ(徳之島町提供)

 将来的には、路上のクロウサギをレーダーで検知し、運転手にその存在を知らせて減速させる。また、畑に設置することでクロウサギの進入を検知し、作物の食害防止にもつなげる狙い。

 12日の町議会定例会で高岡秀規町長は「アマミノクロウサギを夜間赤外線で感知しようとすると路面の熱に反応してしまい、姿を特定するのは非常に難しいとされてきた」と説明。専門家と意見を重ね、現在の技術では可能かもしれないということで実験に至ったと話し、「徳之島でモデル的に実施し、農作物や畑の食害防止にも活用できるのではないかと期待している」と述べた。

徳之島町内に現れたアマミノクロウサギ(読者提供)

 

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