東京都市大学環境学部環境経営システム学科の兵法研究室(兵法彩准教授)で学ぶ小野寺舞音さん(21)=4年=と出口綾さん(21)=同=が21日から約1週間の日程で鹿児島県沖永良部島に滞在し、卒業研究に向けた調査を行った。地球環境への負荷が極めて低い島民の暮らしに着目。兵法准教授は「『地球1個分の暮らし』を実現できている島を参考に、東京での新しいビジネスモデルを考えられるかという観点で、定量的な分析をしたい」と話した。

調査に訪れた東京都市大学の(左から)小野寺舞音さん、出口綾さん、兵法彩准教授と鹿児島県知名町の石田秀輝氏=25日、知名町
沖永良部島は2024年2月、エコシステム社会機構の基礎研究部会「一つの地球で暮らせる社会を描く研究所OPaRL(オパール)」が14世帯を対象に行った調査で、14世帯平均で地球1・2個分、うち6世帯が地球1個分以下の暮らしであることが分かった。同種の調査で、全国平均は2・8個分、東京平均は2・5個分となっている。
今回の調査では、うち10世帯を対象に▽食(地産地消の実践、家族との共食か個食か、昔と比較した調理や保存方法など)▽生活(1日の生活パターン、エネルギー消費機器の使用状況など)-についてヒアリング調査を行った。
食に関する調査を担当した小野寺さんは「想像していた以上に、島民の皆さんが家にあるもので献立を決めていることが分かった。買うときもできるだけ島で取れたものを選んでいる。意識的にやっているのではないのもこの結果につながっていると感じた」、生活について調べた出口さんは「印象に残ったのがコミュニティー。年代を問わず、さまざまなグループ、集まりに所属しており、協力して活動や行事に取り組んでいる。東京にはないなと感じた」と感想を話した。
知名町在住で調査に協力したOPaRLの石田秀輝研究代表は「なぜこの島の暮らしの環境負荷が低いのか、学生たち自身が現場に来てヒアリングしてくれるのがうれしい。学生たちも将来への危機感を持っていると思う。どういう結論を出してくれるのかが楽しみ」と話した。