●日本で最も小さなタカ科 ツミ

ツミ(オス)
奄美大島で見られる猛禽類(もうきんるい)といえば、サシバやミサゴが思い浮かぶが、これらは秋にやってきて越冬する冬鳥である。年間を通して島内で生息する猛禽類の留鳥は、リュウキュウコノハズクなどのフクロウ科を除けば、ツミだけである。
ツミは全長30㌢ほどの日本で最も小さなタカ科に属する。与論島以南で繁殖するのは亜種リュウキュウツミとされている。オスはヒヨドリよりも少し大きい程度、メスはオスよりも一回り大きく、リュウキュウキジバトと同じくらいのサイズだ。
オスとメスでは見た目が異なり、オスは赤い眼、メスはお腹に縞模様が入ることが特徴である。鳥やネズミなどを捕まえて、電柱などで食べるのだが、ツミが食べた跡は、周囲に鳥の羽などが散らばっている。
個体数は決して多くない。沖縄島に住んでいるときは繁殖期の春頃から鳴き声が聞こえてきて、公園や街路樹などで繁殖している姿を観察した。しかし、奄美大島では日頃からフィールドワークに出ていても、見かける機会はめったにない。
●5月頃から開花 デイゴ

デイゴの花
梅雨に入り、デイゴの花を見かけるようになった。マメ科に属するデイゴは、5月頃から開花する。沖縄県では県花に指定されており、店の名前や歌詞にも使われている身近な植物だ。島内各地でも見られるが、原産はインドや東南アジアである。
職場前の広場に植えられているデイゴは、5月下旬から花を咲かせ始めた。花の蜜がお目当てなのか、リュウキュウメジロやアマミコゲラ、オーストンオオアカゲラなどがやってくる。沖縄県ではノグチゲラ(キツツキ科)が吸蜜しているのを見たことがある。キツツキ科はデイゴの蜜を好むのかもしれない。
奄美大島にはデイゴの仲間としてアメリカデイゴなども植えられている。どれも奄美大島の在来種ではないのだが、デイゴの仲間は人気のようで、花の写真撮影をしている方をよく見かける。
島ではデイゴの花がよく咲く年は「台風が襲来する」と言い伝えられている。今年の全体的な開花状況は把握できていないので、島内各地を巡るときに様子を見てみようと思う。
(奄美博物館)